緋色の海に浮かぶ蝶
□episode5
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「…あぁ〜…つまんねぇ〜…」
切原赤也は、行くあてもなくふらふらと二階を歩いていた。
手には、彼の武器である“ロープ”が握られている。
それは1M程の長さで、首を絞めるには十分な長さである。
だが、彼は不服なようだ。
「ったく……俺の武器が最弱なんじゃねーの?…サイアク。」
そんなことを呟きながら、ロープを使って手遊びしている。
だからこそ、気がつかなかった。
後ろを誰かがつけていた事に。
後ろの男は、赤也に大股で近付いて後ろから首の辺りを思いっきり殴った。
「……っぐぁっ!」
赤也は床へ倒れた。
死んではいないだろう。
男は赤也が持っていたロープを拾い、丁寧に、そしてほどけないように、後ろで手を縛った。
そして気を失っている赤也を抱き上げて、できるだけ小さい、目立たない部屋へと向かった。
「赤也、お前が動いていると多くの人間が死ぬ可能性が高まる。」
今赤也を尾行し、意識を飛ばし、手を縛り、監禁をさせようとしている。
その男の名は、柳連二である。
「外に出る事になるが……。体育倉庫に行くか。」
彼は、歩きだした。
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