緋色の海に浮かぶ蝶

□episode7
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「なんなんだよ…!日吉…化け物かよ!」



ブン太はただがむしゃらに氷帝の敷地内を彷徨っていた。



自分に支給された銃を捨てて、ただただ逃げ回っていた。



しかし、走り続けた為に疲労が表に出て、足がガクガクしてきた。

なのでブン太は、適当な部屋へと転がり込んだ。





「ッ…!何だ?この匂い…?」



独特な匂いがして、ブン太は反射的に目を閉じた。


が、危険な物ではないと脳が判断し、恐る恐る目を開けた。





「ここは……!!」



ベッドや身長計、体重計等の器具や、やはり感じる独特な匂い。

ブン太は察した。



「保健室か……」





ふぅ、と息を吐き、バックから水を取り出し一口飲んだ。



体を落ち着かせたら、頭も冷静になりはじめた。






「なんで…」





日吉は銃を持ってる俺を見て逃げなかったのか


日吉は武器を取り出さなかったのか


日吉を撃っても死ななかったのか

血も全く出ていなかった




始めは訳が分からず、日吉が化け物なんじゃないかとすら思った。




だが今は違う。

記憶を頼りに糸を紡ぐと、しっかりと繋がった。







「……あ!」



ブン太は急いでバックの中を見る。

銃の残りの薬莢は全部バックの中に入れたまま。






「これなら……!!」


ブン太は閃いた。







その時。






ガラララ





扉が不意に開いた。




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