折原臨也

□あったかい日には
2ページ/3ページ






「は、速い…」

「ふふん♪」





わたしは持ち前の運動能力を駆使して鬼の臨也さんから逃げ回っていた。ある時には砂場を通過し、またある時には象の滑り台の下をくぐる。そしてまたまたある時には子供たちの間を駆けまわる。まだまだ余裕です。





「そろそろ撒いたかな?」





わたしは遊具のある広場から少し離れた場所に移動し辺りを見回した。わたしは鬼に気をつけながら草陰に隠れて少し様子を見ることにした。ここならバレないはず。





「それにしても臨也さん、どこまで行ったんだろう?」

「みーつけた」

「っ!」

「さすがだね、その運動能力。でもその格好じゃ隠れても意味ないよねえ。フリフリのスカートが見えてるよ」





まさか自分の服が仇になるなんて…頭隠して尻隠さずとはまさにこのことだ。


わたしは逃げようとしたが後ろには木が、そしてわたしの顔の横には臨也さんの手が置かれているので残念ながら逃げることができない。ていうか臨也さん顔近いです。万事休す、さてどうしたものか。










        ♂♀










「さすが普段鍛えてるだけあるな…」





まぁ俺が見込んだんだから当然だけどね。それにしたってこうも差が出るとは…俺も少し鍛えようかな。シズちゃん対策も兼ねて。というかあいつどこ行った?





「?」





草陰から少しはみ出ているどこか見覚えのある白いスカート。桜の木が死角になってうまく隠れているつもりかもしれないがあれじゃ意味ないだろ。というかこれはかくれんぼじゃなくて鬼ごっこだ。あとついでに自分の服装がかくれんぼに適していないのに早く気づけ。





「みーつけた」

「っ!」

「さすがだね、その運動能力。でもその格好じゃ隠れても意味ないよねえ。フリフリのスカートが見えてるよ」





なんだいその如何にもしまったっていう顔は。七海って時々抜けてるところがあるよねえ。うん、たまには追うのも悪くない。でもこれでゲームオーバーだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ