Kiss me please
□不二山嵐
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一年生の時に立ち上げた柔道部も、今や他校と練習試合が組めるまでになった。
一人のままだったら、きっとここまですることはできなかったと思う。
「?」
俺の視線に気づいた翔子が「なあに?」と言わんばかりに小首を傾げてくる。
「ん、いや」
知らない間に凝視していた恥ずかしさもあって、言葉を濁す。
今更……いや、感謝の言葉を伝えるにはまだ早い。
「じゃあ、今度プールに付き合って?」
何がじゃあなのか、こちらの言いたいことが分かっているのか分かっていないのか、翔子はにこにこしながら提案してくる。
(いや、きっと……見透かされてるんだろうな)
「ああ、いいぞ。トレーニングにもなる」
「うん」
嬉しそうに笑う。
クラスも同じで、放課後も部活で顔を合わせ、休みの日も一緒に出掛けて――。