越前リョーマver. 〜入学式〜


 教室に足を踏み入れた瞬間、思わず声が漏れた。懐かしい後ろ姿が、前の方の席に座っていたからだ。
 中学1年のときの同級生。2年からアメリカへ行ってしまい、私も親の転勤で2年間東京を離れていたため、それっきり会えず仕舞いになってしまった越前くんの背中がそこにはあった。まさか、戻ってきた青春学園高等部で再会するなんて。

 中1のとき、私より低い場所にある頭を日課のように撫でては、子ども扱いをしていたことを思い出した。その度にむすっとした表情を見るのが、楽しくて仕方なかった。
 ふと、そんな過去の日常が頭を巡ったものだから、懐かしい気持ちにかられて、小走りにその記憶に自ら重なった。
 お決まりの挨拶と一緒に。

「おはよう、おチビの越前くん!」

 手のひらに伝わる、彼の髪の感触。
 語尾に音符が付いたかのように、私の声は弾んでいた。それくらい、自分の知らない所で、この再会を心から喜んでいたのだ。
 しかし、驚いたように振り向いた顔は、幾分か大人びたもので、瞬間にドキンと心臓が音を鳴らした。
 数秒後、私の認識したであろう越前くんはニヤリと笑って立ち上がる。その身長は私を遥か上を行くもので、記憶の中の私たちとは似ても似つかない状況になっていた。

 予想外の光景を目の前にして開いた口が塞がらない私の頭に、ひと回りもふた回りも大きくなった『男の人の手のひら』が乗った。

「久しぶり。おチビさん?」

 それは、誰よりもかっこよくなった彼に落ちる瞬間でもあった。



再会・彩熱。
(残念で・し・た)




リョーマの背はそりゃあ伸びます。目指せ180センチ!(笑)
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