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□鬼畜なまでに愛して…?
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時代がまだ、攘夷時代だった頃。



無惨な恋に…



打ちひしがれていた日々を過ごしていた…。





鬼畜なまでに愛して…?





嫌な訳じゃなかった。
そのままでも良かった。


何も望んでいなかった。
何も欲しくはなかった。


ただ、一つだけ…
欲しいものはたった一つだけ。


手を伸ばしても届かなくて…。
叫んでも、声は届かなくて…。


ただ、あなたは…



私を抱く事しか考えていなかった…。



振り向いてなんてくれなかった。



欲しいものは、たった一つだけなのに…



あなたは振り向いてはくれなかった…。



それすらも…



手に入らなかった―…





「あっ!…んあぁっ…はぁ…あっ…」


部屋に響く厭らしい声。
確実に、自分の耳にも届いて恥ずかしい。

こんな声で鳴けるんだ…。そう思ったら、其処らの遊女と変わらない気がしてきた。

快楽だけを求めている。
体が目当てなんだ。

白夜叉と恐れられている彼。銀時との関係は体。

それ以外にはない。


「あっ…いやっ!あぁぁんん…そんな…っ…激しく…、しない…でぇぇぇッ!!」


いきなり腰の動きを早めて来て、思わず甲高い声で叫んだ。

益々、絶頂が近くなる。


「激しい方が好きなんじゃなかったっけ?」

「そっ…あぁッ…んな…こと…いやッ…」

「嫌じゃなくて、いいの間違いだろ?」


耳元で囁かれ、背中に寒気が走った。

気を失いそうになる程の快楽。
攻めてくる銀時の言葉。

それを求める位に狂っている。


「ちゃんと腰振ってんじゃん…」

「やっ…」


気付かぬ内に、腰を上下に降っていた。
いい所に、もっと当たる様に…。

本能的な行動だ。

愛する人と、躯でしか感じ合えない。
それは寂しいけど、抱いてくれる時だけは、私をみていてくれる。
そんな細やかな幸せがある。


だから離れられない。
だから辞められない。


段々と押し寄せてくる波。それを塞き止めている何か。
早く解放したくて、躯がうずく。


「あぁー…桜ん中最高…」

「あっ…あぁぁ…んぁッ…」


早く解放したいのは銀時も同じ。
締め付けに、顔を歪めた。
その表情が綺麗で、胸が高鳴り、また絶頂が近くなる。


早くイキたい…。


今はそればかり。
すると、大きな波が来た。塞き止めていた何かが、動いた感じだ。


「あっ…あっあっ…あぁ…イク…ッ!!イっちゃう…ッ…!!」

「イっちまえっ!!」

「あぁぁん!!んや…あっ…」


思いきり最奥を突かれ、意識が千切れるそうになった。

銀時自身を、締め付けて離さない。
絶頂が近い証。寧ろ、もう間近に迫っている。

律動の繰り返しに、我慢の限界。
塞き止めていた何かが、崩れた。

甲高い声を上げて、絶頂へと達した。


「あぁぁぁぁぁん!!いやぁぁぁぁッ!!んぁ…」

「…ッ!」


表情を歪めて、銀時も達した。
解き放ち、全身から力が抜けた。
お互いが絶頂に達した後、銀時は私から自身を抜いた。

そんな些細な行為ですら、快楽が走る程、敏感な躯。

結合していた部分から、二人分の蜜が溢れた。

自身を仕舞うと、銀時は口を開いた。


「やっぱ桜は最高だな」


私自身じゃなくて、躯の具合。
銀時が求めるのはそれだけだから…。


私自身じゃないから。


素直に喜べない。
でも、そう言ってくれるなら、また期待出来る。


また、抱いてもらえる。
私だけを見てくれる時間が出来る。


「また頼むぜ」

「うん…」


それを望んでいるから、頷くしかない。


知っているから。
私を抱く理由を。


人を斬って、血に狂った自分を止める為。


人である為に。
これ以上狂わない様に。


鬼じゃない。
人である為に…。


銀時がこれ以上狂わない様に…。


それなら私は…



幾らでも耐えられる。


望みがなくても。
希望がなくても。


あなたを止める術が私なら…



無惨な恋でも構わない―…






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