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□春の雨、春の宵にて
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天気予報は外れ。



「予想だからな」と、君は笑う。





春の雨、春の宵にて





夕刻に降って来た雨は勢いを増し、折角暖かくなって来た温度を、一気に下げていった。
外は一面水浸し。少し歩くだけでも靴に雨が染み込んでくる。
嫌な思いをしながら、早くこの冷たい雨から逃れたくて、走って家へと向かう。
これ以上、体温を奪われたら絶対に風邪を引く。既に濡れている体を早く乾かしたくて、文句を言いながら家へと到着。

「びっしょりになっちゃったじゃない!なぁーにが「結野アナの天気予報は絶対当たるから大丈夫!」なのよ!!」

後ろにいる男を軽く睨み付け、噴き出す様に文句を放つ。すると男は、悪怯れた様子もなく、笑って誤魔化す。

「予想だからな」

「だったら天気予報信じないでよ!!いっくら好きな結野アナだからって…」

不貞腐れた様な彼女が可愛くて、つい構いたくなる。
怒ったりいじけてみたり、感情豊かな彼女を見ていると、つい抱き締めたくなる。しかも、彼女が抱いているのは明らかなる嫉妬。
にやりと笑い、S心が疼く。

「あれ?桜ちゃん嫉妬?」

「ち、違う!」

顔を赤く染めながら否定したって、何の説得力もない。
朝の天気予報で、夜迄雨は降らないと結野アナの天気予報がそう告げた。
結野アナのファンの銀時としては、結野アナの天気予報に絶大な信頼を寄せている。だから、降らないと言ったら降らないのだ。
けれど、昼頃外を見上げた桜は、雲行きが怪しいから、傘を持った方がいいと銀時に警告。しかし、銀時は頑なに傘を持つ事を拒んだ。降らないの一点張り。そしてその結果が、今の状況。玄関で、濡れた服を持ち上げると、着物から水が滴り落ちる。
恋人が、違う人を信じたりしたら、面白くないのは当然。それが気に入らなくて食って掛かるが、一枚も二枚も銀時の方が上手。

「可愛いなぁー」

そう言いながら桜を抱き締める。ひんやりとした銀時の肌に、桜の体はビクリと反応を示した。
びっしょりになった着物は、もう服の意味をなしていない。肌の色が透けて、桜の白い肌を浮き上がらせている。しかも、桜が反応を示した事で、銀時の少ない理性は見事に切れ掛かっていた。辛うじて繋がっている理性で、何とか持ち堪えようとする。

「もぉー…銀ちゃん離してよ!早く拭かせてよ」

「風引いちまうしな。新八、神楽ぁー!タオルくれぇー。って…あれ?」

玄関から叫ぶも、二人が走ってくる気配は全くない。寧ろ、万事屋から、人の気配を感じない。
閑散とした雰囲気の中、土砂降りの雨音だけが部屋に響いてくる。

「いないのかなぁー…」

「神楽は兎も角、新八が濡れた俺達を放っておくとは思えねぇな…。どっか出掛けたか?」

「濡れたまんまじゃ、部屋に入れない…」

着物の合間を捲り、びしょ濡れの状態をどうしようかと考える。

ぴったりの桜の肌に張り付き、胸の形をも明らかにしている。
下着を付けていないから、かなり大胆な格好となっている桜の胸を見て、銀時はにやりと笑った。
今、桜は自分の腕の中。しかも、万事屋には誰もいない。辛うじて繋がっていた理性が切れるのには、十分過ぎる程の状況だ。

「桜、さみぃーだろ」

「当たり前じゃっ!」

銀時を見上げた瞬間、いきなり唇を塞がれた。突然の事に、桜の思考は付いていけず、されるがまま。

「んっ…ふっ…」

舌を絡め取られ、熱の籠もった激しい口付け。何度も何度も角度を変えて、呼吸を奪われていく。
苦しくて、息をしようにも上手く空気が取り込めなくて、すぐに残り少ない空気を銀時に奪われる。
強く抱き締められているから、身動きすら取れない。
次第に苦しくなり、目に涙が貯まってきた。あまりの熱の籠もった長い口付けに、体にも力が入らない。倒れてしまいそうになるのを、銀時の腕に支えられている様な状態。この腕を放されたら、その場に崩れ落ちるしかない。

「ん…はぁ…んっ…ん…」

冷たかった体が、麻痺して寒くないのか、銀時の口付けで火照っているのか、どちらか解らない。
抱き締めていた腕が、胸へと動き出す。口付けで敏感になっているから、反応せずにはいられない。

「やっ…銀ちゃん…っ…」

やっと唇を離されて、新鮮な空気を体内に取り込む。
けれど、息つく暇なんてない。銀時に胸を愛撫されて、されるがままに感じる。

「体重ねた方が、すぐに暖まるだろう」

「だ、だからって…やぁっ…此処で…んっ…」

濡れている着物を肌蹴させて、直に胸の突起を掴み刺激していく。
潰してみたり摘んでみたりと、その度に、背中に寒気が走り抜ける。しかも、耳元で銀時が喋るから、余計に力が入らない。

「桜に嫉妬焼かれて、こんな姿見たら、誰だって我慢できなくなるもんだぜ」

「あっ…やっ…もぉ…立ってらんないよぉ…」

「仕方ねぇなぁ」
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