PLAYBOY×PLAYGIRL

□Data05-case by-wakashi.H-no under story-
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興味はない。



ずっと、そう言って避けてきた。



"性隷"を使う事に…。



関係を持つ事に…。





Data05
case by-wakashi.H-
-no under story-






放課後の部室で、先輩達が口々に雅先輩の事を話していた。
「あいつはいい」とか「手放せなくなりそう」と絶賛する声ばかりが聞こえてくる。
隣で着替えていた宍戸先輩に忍足先輩が絡んでいたけど、聞いていないフリをする。
自分には無縁。だから、聞かなくてもいい、どうでもいい話。

「抱いたら最後やでー。めっちゃええんやから!」

「もう、手ぇ出したのかよ!」

心の中で『手が早いからな』なんて呟いたけど、会話には参加しない。
先輩方の手の速さにはいつも呆れていたし、"性隷"を抱く事に躊躇した事無い姿を見て、飽きれを通り越して尊敬すら芽生えていた。

どんな人を見つけて来ようが、自分の欲望を最優先し、満たす為だけに抱く。それが、"性隷"の役目で、条件。
"性隷"達の、本当の感情なんて知らずに…。

ある意味、冷酷な仕打ち。
気持ちを隠して、体だけでも…という哀れな人達を何十人と目にしてきた。だけど、そういう奴は解るらしく、"性隷"には選ばれない。選ぶ前に。いや、選ぶつもりなんて無いのだろうな。一度抱いてその場の関係で終わり。

先輩達はもてる。
男子テニス部という肩書きを持っているだけでも魅力的な存在。それに加えてあの整った容姿。
人気が出ない訳が無い。そんなんだから、女関係はとにかく激しい。人気だけならいいが、その上面倒臭い事に女ったらしと来たら、手が付けられない。
"性隷"と言う決まった女が居なければ、手当たり次第で、いつか後ろから刺されてるだろうな。

それに、言い寄ってくる女が居すぎて、女の扱いに慣れている先輩方でも、裁ききれないのが現状。
部活にも支障が出る。
女関係が面倒くさくなる。
だったら、女を一人作ればいい。性欲も満たせるし、他の女の相手をしなくて済むし、部活にも集中できる。

そんな考えから、"性隷"制度は生まれた。
でも、惚れられたら面倒臭くなる。だから、恋愛感情が欠落した女が望ましい。

しかし、現実はそう簡単には行かないもの。

最初は恋愛感情が無くても、情事の回数を重ねれば、必然的に相手を見てしまう。それが、男子テニス部なら尚更だ。
体が手に入ったら、心までも欲しくなる。

もっと、自分を見てほしい。
体じゃなくて、中身までも見て欲しい。そんな、下らない感情が込み上げてくる。


『冗談じゃない!!折角跡部様と関係作れたのにもう終わりじゃない!!好きだって言われるなら、跡部様が良かった!!』

そんな事を言われた。
でも、一気に感情が覚めていくのを感じた。

(あぁ、こいつもか…)

他の"性隷"と同じ。
結局、こいつも先輩目当てだったんだな…。

最初から、俺の出番なんて無い。でも、そんな事解っていた。解っていたけど、好きになってしまったんだ。

責められた。
どうしてくれんのよ!と…。
けど、"性隷"が跡部先輩に惚れている以上は、もう契約継続は無理。解除するしか方法はない。
俺を責める"性隷"に、跡部先輩はどこまでも冷たい。

『恋愛ご法度だって言った筈だぜ。それに俺は、仲間にんな事言う女なんか願い下げだ。天と地がひっくり返っても、てめぇーみてぇーな女には惚れねぇーよ。アーン?』

跡部先輩のあの時の言葉、今だに耳に残っている。
惚れた女。だけど、気持ちがすっきりしたのをはっきりと覚えている。女への感情が、吹っ切れた。

"性隷"自身に問題がある。
契約解除の理由はそれだったけど、少なからず自分にも非はある。だから、後味は最悪。

今度は、罪悪感で胸がいっぱいになった。あの人への感情よりも、"性隷"を失った先輩達の喪失感がはっきりと見て取れて、見るに耐えなかった。

そんな時に、雅先輩の噂を聞き、"性隷"に選んだ。
けど、罪悪感からか、"性隷"に近付く事が怖くて、雅先輩にも近付けずに居る。
でも、それで構わない。同じ過ちを繰り返したくはないから、もう"性隷"になど関わりたくない。

欲望がない訳じゃない。
だけど、『惚れたら契約解除』なんて枷より重たい物なんてない。そんなリスクに怯えるくらいなら、俺は"性隷"なんて使わない。
また、俺の所為で契約解除にでも成ったら、流石に申し訳ないし、跡部先輩達に嫌味を言われ続ける事になるだろうから。
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