-庭球-under story@

□愛する君に捧げる愛
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可愛い可愛い君を…


独り占め。


捧げる愛は…


全て本物だから。





愛する君に捧げる愛





「あぁー…何でこんな寒い中合宿しなきゃなんないのぉー!!」

テニスコート付きの合宿所に合宿を始めた氷帝男子テニス部。全国へと行ける事になり、その為の強化合宿と言う訳だ。
ぶつぶつと文句を言いながらも、フェンス越しに部員達を観察。マネージャーの桜も、強制参加を強いられている。
文句を言いながらも、フェンスを掴んで、向こう側にいる熱愛相手をじぃーと見つめる。
皆を均等に見ようとするのだが、どうしても目線が行ってしまう。

(景吾格好良いぃー!!さすが景吾!さすが私の彼氏だわぁー…)

熱愛中の景吾を見ては、そんな事を思い、うっとりとしている。
真剣にテニスをしている景吾は、世界一格好良い。ずっと見ていても、飽きる事など絶対に無い。必死にボールを追い掛ける姿とか、時々見せる勝ち誇った様な笑顔とか…。
全てが桜には格好良く見えて仕方ない。景吾を見る度にうっとりしてを何回も繰り返す。しかし、今は合宿とは言え、部活の最中。いつまでも幸せな時を過ごせる訳がない。

「桜―、タオル取ってやぁ」

「桜ッ!俺喉乾いたぁー!」

「桜―!膝枕してぇー!」

「桜、カットバンくれ」

「桜せんぱぁい!」

幸せな時間は長く続かないもの。
うっとり時間を邪魔された桜は不機嫌オーラを放つ。
しかも、レギュラー陣が桜を呼んだのは、熱烈視線の邪魔をする為。
桜は性格に問題有りだが、かなりの美少女。故に今でもレギュラー陣は桜を狙っているのだ。
跡部のものだと解っているけれど、諦めきれない。だから、邪魔をしようとしているのだ。
邪魔された桜は先程からの不機嫌オーラを放ったまま、口を開く。

「いっぺんに言われても出来る訳ないでしょ!!ったくー…人の幸せを邪魔しやがって…」

レギュラー陣に向かって怒鳴り、一度怒りの気持ちを沈めようと試みる。
怒鳴られたレギュラー陣はいつもの事ながらと、再びバラバラに口を開く。

「桜タオルぅー」

「喉乾いたぁー」

「膝まく…ぐぅーzzz」

「カットバン…」

「せんぱぁい!」

「はぁ…」

もう何を言っても無駄だと解ると、桜は諦めたかの様にため息を付いた。
近くにあったタオルを忍足に、近くにあったドリンクを向日に、芥川には部活に行けと、たまたま持っていたカットバンを宍戸に、長太郎には手で払うような仕草をして、仕事をこなす。
桜が不機嫌になりながらその場にしゃがんでいると、不意に後ろから景吾の声が降ってきた。

「おいまだ休憩じゃねぇんだぞ…。それと俺様の女を使うな…」

景吾の声が聞こえてきたと同時に、桜は瞳を輝かせながら後ろを振り返った。
先ほどの怒りなど、景吾の声で何処かへ吹き飛んでしまった。
そして景吾の言葉を聞いて、感動を覚えた。

「景吾…」

「桜こっち来い」

景吾に呼ばれるままに走り寄る。
走り寄った桜を思い切り抱き締めた。勿論、他の奴等に自分のものだと思い知らせる為。

「景吾…?」

すっぽり景吾の腕の中に納まっている桜。
もう二人には部活中と言う事など全く関係ない。
皆の前でキスなんて景吾にとっても、桜にとっても当たり前。
どちらからともなく口付けを交わす。
しかも濃厚な口付け。
ディープキスなんて当たり前な位、二人はラブラブと言う事であろう。
そんな二人を見てて、レギュラー陣は呆れた表情を浮かべていた。けれど悔しくもあった。

「めっさ羨ましいわ…」

「俺等に見せ付けるようにしやがって…クソクソ跡部ぇー」

「恥ずかしくないのかなぁー…」

「けっ‥激ダサだな…」

「桜せんぱぁい…」

悲しい様な悔しい様な。
桜を狙っていても、絶対に手に入らないと、落胆する一同。
諦めて部活へと戻っていく。
けれど景吾は桜を抱き締めたまま、離そうとしない。いい加減、恥ずかしくなって来た桜は顔を赤く染めながら、景吾の腕から顔を上げた。

「景吾…」

「桜知ってるか?」

「へ…何を?」

「ここの合宿所、混浴だって…」

桜の耳元で甘く、静かに呟いた。
混浴など、そんな話は全く聞いていなかった。
景吾の発言に、一気に耳まで顔を赤く染めた。
いくら何でも混浴なんて…。
桜の心臓は張り裂けそうな位、高鳴っていた。

「一緒に入るに決まってるよな…?」

「うっ…うん…」

顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと頷く。
もうすぐで日が沈み、練習が幕を閉じ、夜が、幕を開ける…。


* * *


あっと言う間に夜になり、桜は慌てていた。
景吾とお風呂に入る約束をしてからの桜の心臓は今にも張り裂けそうな勢いでどきどきしている。
いくら彼氏とは言え、一緒にお風呂なんて…。
しかし景吾は入る気満々で、絶対お風呂の中でやる気だ。
だから余計にどきどきしていた。
そして、とうとうお風呂の時間。
桜は心の準備をしてから、景吾のいる浴槽へと向かう事にした。
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