-庭球-under story@

□愛…。幸せな日々
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夏の夕焼け空が、王者、立海大のテニスコートを、朱色に染め始める時刻。
ただ今の時刻は六時を過ぎた時刻。
関東大会を二位で通過した今、そして部長、幸村の手術が見事成功した。
その一方で、レギュラー陣は安心仕切っていた。っと言っても、真田や柳生、柳は気を抜いていない。
そんな中、関東大会が無事に終了したと言う事で、放課後の部活は少しの休養と言う意味も込め、六時で終了。勿論、マネージャーの私も六時までに仕事を済ませ帰宅。
私の毎日の日課は…彼氏であるブン太と一緒に帰る事。





愛…。幸せな日々





「ブぅーんちゃんッ!かぁえろ!!」

ルンルン気分で部室に顔を覗かせる。部室にはブン太とジャッカルと仁王しか残っていなく、私の声に気付いたブン太が振り替える。
真田が居なくてよかった…真田がいたら、「フン…今から男女交際などたるんどる!!」なんて言われんのがオチ。羨ましいだけでしょ…。

「おう!ちょっと待ってろ」

急いで着替えを済ませ、カバンを手に取ると、走って私に飛び付いてくる。

「お待たせ!」

ブン太が私に満面の笑顔を向ける。私も釣られるように笑顔になる。
すると卑屈っぽいジャッカルの言葉が聞こえてきた。

「ブン太…人前を考えろよ…」

「プリッ」

同意を示しているのだろうと思われる仁王の口癖。
嫉みにしか聞こえない…。実際そうなのだろうが…。
相棒ジャッカルの言葉に、私を抱き締めたまま振り返ると、舌を出しながら言い返す。

「そんなに羨ましいならお前等も早く可愛い彼女作れ、まっ!!可愛いのは桜だけだけどな!!そこんとこシクヨロ。桜帰ろぉー」

そう言い残し、ブン太は部室のドアを思い切り閉める。
私はついブン太の言葉に、笑いを堪えられなくなり、声を出さずに笑ってしまった。
そしてブン太に抱き締められたまま帰路に着いた。
部室で暴れるジャッカルの奇声が聞こえるが二人仲良く綺麗に無視。
暫らく歩くと、私を離し、ブン太と手を絡めるように繋いで歩を進める。
こうして大好きな人と手を繋いで歩く。そんな当たり前かも知れない時間が、私は大好き。隣にブン太が居てくれる事が、私にとってどれだけ幸せか…。
ブン太にとってもそうであります様に。そう願わずにはいられない。

「ねぇ、今日ブンちゃん家行きたい」

一度風船を膨らませ、すぐに萎ませると、私ににぃっと笑い掛けてくる。
いつもと違う。何かを企んでいる様な笑顔。
ブンちゃん家に行きたい!!と言うと必ず見せる顔。
ブン太のそんな顔は格好良いから大好き。

「いいぜ。その代わり…手加減出来ないかも」

「そんなのいつもじゃん…」

「だって桜が可愛いから仕方ないじゃん?」

そう言いながら私を抱き締める。
私も笑みを零しながらブン太に抱き付く。
ブンちゃんになら何されても構わない…。
大好きな人だしね。

一旦家に帰る、と言う事はしない。学校帰りにそのままブン太の家に直行。その方がブン太といる時間が多いから、いつもそうしている。
明日は部活も学校も無いから、泊りで彼氏の家へ。
ブン太の家に着く直前、私に小声で「今日、親帰って来ないから」と言った。
その言葉に嬉しくて、ブン太に明るい笑顔を向けると、再び先程の笑顔を浮かべてきた。
この笑顔に弱い…。狙ってやっているとしか思えない。まっ、嬉しいからいいか。
ブン太の家に着き、すぐにブン太の部屋へ向かう。っと言うか早く早くと急かされ、腕を引っ張られた。

「わぁーい!!ブンちゃんの部屋ぁ」

ふかふかのベッドに座り、一人はしゃぐ私。
いつもブン太と体を重ねているベッドが安心するのはブン太のベッドだからだろうか…?
私が一人ではしゃいで、その光景をブン太が見ていると思いきや、次の瞬間、ベッドに押し倒されていた。

「わっ!!」

「えへへ」

「もう…」

悪戯っ子の様な笑顔を見せる。
笑顔がころころ変わって、ある意味分かりやすい。
私の手に指を絡ませる様に、離さないと言った感じで指を繋ぐ。
ブン太から、触れる程度の優しいキス。

「好きだ…桜」

そう言ってまたキスをしてくる。
キスの間に、好きと言い、また口付ける。
私はそれが大好き。くすぐったい様な嬉しい様な…そんな感じがする。
ブン太が大好きだから、私も言う。

「私も大好きだよ…」

繋いでいた手を離し、自分からブン太の首に腕を絡ませる。
そして深くて長いキスが始まる。
ブン太に抱き付き、自ら唇を重ねる。
深く、深く…そして長く。
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