頂き&捧げ小説☆
□love sweet
1ページ/11ページ
あの時、本当は一緒に街を歩きたかった。
手を繋いで、一緒に歩いて、街を見て回りたかったんだ。
――――恋人同士みたいに…‥
□
□□
□□□
青々と生い茂った桜並木。
風が木々を揺らし、沢山の葉の雨を降らす。
其処をゆっくりと歩く金色の青年。
ゆっくり、ゆっくりと周りの景色を見つめながら、歩いていく。
そして、その少し後ろを金の青年と同じ歩幅で歩く黒色の青年。
「…‥やっぱり全部、散っちゃってるなぁ。まぁ、咲いている時期は過ぎちゃったんだから、当たり前なんだけどな。でも、綺麗に咲き誇った桜、リオンにも見せたかったなぁ…‥」
そう言って少し笑う青年は、何処か寂しそうで。
そんな金の青年に、黒色の青年・リオンの表情にも少し翳りが掛かる。
「仕方が無いだろう?この前の時は、皆が皆、出掛ける訳にはいかなかったんだからな。」
「そりゃそうだけどさ…‥」
リオンの言葉に、金の青年が口を尖らせる。
そんな彼を見て、リオンは少し肩を窄めて苦笑する。
そう、桜が満開の時期にこの街・ノイシュタットを訪れた時のリオン達は、別に観光目的で来た訳では無かった。