Tales of Rebell

□〜相棒〜
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「うっ―…嘘ぉー!?」

スタンが絶叫し、頭を抱えてしまったのも無理はなかった

どんな理由なのか…
それともセキュリティの一端なのか…今の今までスタンが立っていた場所に、いきなり鉄格子が降ってきて
歩いてきた通路と神殿のようなこの場所を、その重々しい体で寸断してしまったのだ

「どっ…どどどどどどどうしようー!」

鉄格子を掴んでガチャガチャと揺さぶるものの、これまた入ってきた隠し扉同様にビクともせず、開く素振りすら見せない

一体何なんだよ、この場所は!
…というか、何で家の中にこんな場所があるわけ!?
リオンの屋敷って…何がどうなって…

どうしようもない程に狼狽しつつ、再び格子を握る腕に力を込めようとしたところで、何とか最後の希望をスタンは思い出す事が出来た

「―…さっき光ったところ!」

そう言って一目散に駆け出すと、転がるように階段を登り切り

「―……!」

少し長い階段の最上段にツンツンの金髪頭が到達して、ひょっこりと顔を覗かせた瞬間

…眼前に見えたその『何か』に言葉を失った

階段の上
簡素な祭壇のような場所にあった『何か』には頑丈な鎖がぐるぐるに巻き付き、長い年月をそのまま放置されていたのか、どことなく薄汚れた印象を受けてしまう
そしてその『何か』とは…

今まで見た事もないような、一振りの大きな剣だった


「うわ…ぁ…」

だが、炎のような装飾が描かれている肉厚な刃が錆びている事はないようで、ランプの灯りを照り返し銀に輝いて、その鋭さを伺わせている
刃にうっかり触れる事すら躊躇してしまう程だ

「さっき光って見えたのはこれか…」

出口でなかったのは残念で、これからどうやってこの場所から脱出すればいいのかも分からないが
それよりもまず、スタンの興味はこの剣へと大きく向けられていた

「…何でこんな場所に剣が…?」

隠された扉をくぐり、延々と歩き続けて
…そして辿り着いた先は、神殿のようなこの場所
その一番奥に置かれていたこの剣は一体…

「それだけ大事な物だって事なのかな?…それにしても…」

興味津々な様子で床に膝を着くと身を屈め、スタンはゆっくりと空色の瞳を動かして剣の全体を眺める

そして

徐に溜め息

「…古臭い剣」

『古臭くて悪かったな』

その時―…思わず吐いた独り言に返答(?)を入れられてしまい、スタンの思考が少しばかり停止する

……誰?
だってここには俺しかいないはずじゃ…?

「え…えっと?」

『…一体何なのだ、この失礼な男は!?我を古臭いなどと…!それにしても、どうやってこの場所まで…』

響いてきた声がスタンの頭に直接侵入する
怒っているような、呆れのような…落ち着いた、腹の底まで響き渡る男性の声

この感覚には…覚えがある

「…シャルティエ…?いや、声は違うけど、シャルティエと同じだ…」

肉声とも空耳ともつかない不思議なもの
シャルティエと同じ雰囲気のもの…

だとすれば、もしかしなくともこの剣は―…

「ソーディアン…なのか?」

『…何?』

思わず洩れたスタンの小さな呟き

だが、途端に
剣の身が動く事はないが、鋭い視線のような感覚がスタンの瞳を射たかと思えばビクンと肩が震え、静電気が流れたように体がビリビリと痺れる

『…お前は何者だ?何故…我の声が聞こえている…』

「あの…」

あまりにも意表を突いた衝撃的な出会い
そしてまだそれが理解出来ない頭

まだ…会えるのは先だと思っていたから
心の準備などからっきし出来てないのに

もしかして

…もしかしてこのソーディアンが…


『我の声が聞こえるならば、答えるがいい。我が名はディムロス。ソーディアン・ディムロスだ』


―…俺の相棒…!
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