頂き&捧げ小説☆

□金糸
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スタンとリリスは幼い頃に両親を亡くした。
その後祖父のトーマスに引き取られたものの、リリスは余りに幼く、母親を恋しがって大変だった。
そこで母親似のスタンが髪を伸ばして母親代わりをすることになったのだった。
「まあ、その頃は家事全般を俺がやってたから事実母親代わりだったんだけどな」
そう言ってスタンは笑う。「そうか…」
「あ、あとこれでも旅に出る前に切ったんだぜ?」
もうちょっとバッサリいこうと思ったんだけどリリスに止められたんだー、と言う彼の髪を梳く。
「リ…リオン……?」
「…どんな長さだろうとも、僕はお前の髪が好きだ。まあ、強いて言うなら今の長さが好きだが……」
少し目を逸らしつつリオンが言う。
「へへっ、ありがとな、リオン」
そう言いつつ肩に寄りかかってきたスタンの金糸の髪を梳きつつリオンは優しく笑った。


この幸せな時間がずっと続けばいいのにと、願わずにはいられない。叶わない願いだけれども。
陽なたの匂いがする彼の髪に軽く口付けながら、リオンはそう思った。



END..
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