紅キ桜、紫ノ桜

□伊藤甲子太郎
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=元治元年八月=

「じゃあ伊藤さんを新選組に?」

そんなこんなで平助は江戸へ行くことになった


「千鶴」

「平助君?どうしたの、そのカッコ」

「お前の江戸の家を教えてくんない?」

「え?いいけど、どうして?」

「隊士募集の為に江戸に行く事になったんだ」

「隊士募集?」

「あぁ、このところの俺達の働きが認められて、新選組の警護地が広がっちゃってさ」

「そうなんだ、すごぉい」

「ついでに綱道さんの事も出来るだけ調べてくるから期待しててくれよ」

「うんっ!あっ、じゃあちょっと待ってて」

しばらくすると千鶴は紙を持ってきた

「近所まで行ったら″蘭方医の雪村って聞いて貰えばきっと皆知っていると思うから」

「分かった」

「それじゃあ宜しくお願いします」

「うん、じゃあいtっ・・・」

「平助ぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「「!?」」

前方からすごい勢いで走ってくる漆黒

「平助ぇぇ!千鶴ゥ!!HELP!助けて!総司があぁぁぁ!!って、あれ?どこ行くんだ??」

あ、平助達HELPって言葉分かんないんだった

「江戸だよ」

「えっ!?なんで!なんで言ってくんなかったんだよっ!バカ平助!」

「ご、ごめん」

「ちょっと待ってて!」

漆黒は走って何処かに行ってしまった

数分して

「はぁ、はぁ、はぁ、はい、これ」

息切れしながら持ってきたのは

「なんだ?これ」

「お守りだよ」

お守りだった

「お守りって千鶴が付けてるヤツか?」

「あぁ、あんまり使えねぇけどな、守ってくれるのはホンノ数回だけだろーけど」

数回でもないよりマシだろう

「そっか!ありがとな!」

笑顔な平助に

「おぅ!頑張ってこいよ!早く戻ってきてね!」

自然と顔が綻ぶ

「っ!あぁ、分かった、じゃあな、行ってくる」

危ない事が起きないのを願う

「気をつけてね、平助君!それで?漆黒、沖田さんに何されてたの?」

あ、忘れてた

「あぁ!総司が・・土方さんの句集を俺の部屋に置くんだよ・・!」

「句集?」

千鶴は句集知らないのか

「あぁー、知らない方が身のためだと思うよ・・」

「う、うん」

あ、ビビっちゃったかな


「お茶置いておきます」

「あぁ、すまん」

「・・あの、山南さんは?」

「ちょっと、調べ物をしてるみたいだよ」

調べ物?

「そうですか・・お茶、後での方が良かったですね、入れすぎちゃいました」

「置いとけ、置いとけ、あれば誰か飲むだろ」

じゃあ俺が貰おっかな

「そうですか」

「千鶴そのお茶頂戴」

「あ、うん、はいっ」

「あんがとっ」

「辛い」

は?

「ん?」

「んぉわ!こりゃひでぇ、これ作ったの総司だろ」

ははははっしつれーだな

「ムッ何その言い方?とりあえず、野菜茹でて、醤油に浸すとこまでは僕がやったけど、別に不味くないと思うけどな」

スッ

「ん?斎藤どうした?」

「水洗いしてくる、塩分の取り過ぎは健康を損ねる」

一も味付け下手糞だけどね・・

「・・・俺も」

スッ

あーあ左之まで

スッ

えぇ、歳も?

「えぇっ?」

「じゃあ僕もちょっとだけ洗ってこようかな」

スッ

お前もかい!

ボーンッ

タイミング良く鐘の音が鳴った

俺と千鶴は顔を見合わせ笑った

「ハハハッ」

「フフフッ」

=やっぱり平凡が一番だ=
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