紅キ桜、紫ノ桜

□大事な者
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雨は相変わらず止む気配が無い

ビショビショになりながらも探すは大事な女

すぐにでも抱きしめてあげよう

哀れな男たちは走り続ける

逆に女はこれからどうするか彷徨っていた

寒いカッコでビショビショになりながらも前を歩き続ける

己の大切な者を探すために・・・

己の存在理由を・・・

ザーッ

「はぁー、最悪、傘くらい持ってくればよかった!」

風がビュウッと吹く

寒ッ

思わず河原で立ち止まってしまった

仕方が無いので橋の下で雨が止むのを待つコトにした

「はぁー、寒いぃぃ」

身を縮める

だんだん、眠くなってきた・・

段々眠気が漆黒を襲う

もう少しで眠気に支配されるトコロで後ろがふわりと暖かくなった

「な、に?」

「捕まえたぜ、漆黒・・・」

哀しそうな安心したような声を出すのは・・?

そのまま誰かの腕の中にスッポリ閉じ込められてしまう

雨を長時間当たりすぎた為誰の気配か分からない

それに余計に眠くなって来てしまった

暖かい・・・

ゆっくりとそのまま眠りに落ちてしまった

完全に寝てしまう前に微かに

「ごめんな、漆黒、許してくれっ」

そう涙声で誰かが俺に言った気がした

誰かが俺に優しい、優しいキスをした

暖かいあなたに今だけ体を預けて
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