紅キ桜、紫ノ桜

□再開そして取り戻したもの
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俺は今日、ある部屋の男達の相手をするように言われていた

まさかそれが、運命の再開なんて思いもしなかった



桜舞を懐に隠し持って部屋に入る

今日も襲われない事を祈る

スーッ

頭を下げ

「失礼します、旦那様方のお相手をさせていただきます、漆黒です、どうぞ宜しくお願いします」

本当は偽名を使わなくてはいけないらしいが俺だけは特別偽名を使わなくていい事になった

顔を上げる

「っ!?」

そこには新選組の皆が居た

なんでっ!?なんでいるんだ!?

俺は焦っていた、まさかこんな所に居るとは思うわけない

そこに可愛い芸者が居る

目を凝らしてよく見ろとそれは・・千鶴だ、千鶴には悪いが千鶴を利用してこの部屋から逃げさせてもらおう

がんばって平然を保ち

「あら、芸者さんが居たんですね、では、私は他の部屋に行かせてもらいますわ」

襖に手をかけ、早くこの部屋から逃げようとすると

「・・っ!待てっ!漆黒っ!」

歳・・・・・

どうする、どうすればいいんだ、俺!

「何ですか?」

「良かった!ずっと、探してたんだよっ」

総司・・

「漆黒っ!会いたかった!!」

平助・・

駄目だっ、もう俺は捨てられたんだっ

「っ!あの、先ほどから、私の事を勘違いしていませんか?」

明らかに声が震えていた

「漆黒、戻ってこいよ」

新八・・・

手には桜のゴムが握りしめられていた

ずっと持っていてくれたのか・・

「漆黒、頼む、戻ってきてくれ、俺にはあんたが必要なんだっ!」

一・・・

駄目っ、もう駄目!皆の言葉を聞いていたら決心が揺らぐっ!

止めてくれっ!

「何の、事か、分かりませんが、私は、失礼、させていただきます・・・」

襖に再び手をかけ部屋を出ようとする

すると、フワリ

左之が後ろから優しくも強く離さないように抱きしめた

「やっと、捕まえた、もう、逃がさないっ」

左之・・・

何でだよ・・・

「なんで!?なんでなの!?」

皆の方を見ると部屋の奥にもうひとつ襖があるのを見つけた

よし、隙を見つけてあそこから逃げよう!

「俺は間違えていたんだ、すまねぇ許してくれっ!」

今更なんだよ!

「漆黒、もう、お前を裏切らない、だから戻ってきてくれ!」

偽善の言葉か?それとも同情?

俺が可哀想だからか?

「・・・・。」

それなら俺はこの腕から皆から逃げてやる!

バッと左之の腕を思いっきり振り払い

襖に向かって全力で走った

重い着物のせいで動きづらい
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