TOG‐テイルズオブグレイセス‐

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―守りたいもの
















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空を海で覆われた世界。
エフィネア――

そこは、ウィンドル・ストラタ・フェンデルの三国がある。





ウィンドルに住む、ある少女”ルマ・リシュウス”は、銃と槍を使い兄から稽古を受けていた。




(精神を集中させて――っ!)



――バンッ


的を目掛けて、銃の玉はど真ん中を貫いた。





『やった!お兄ちゃん、命中だよっ!』





「おっ!すげぇ。もうできたのか?やっぱりルマは、槍より銃の方が向いているんじゃないか?」



銃は、ルマが幼少の頃。
今はもう他界してしまった父が手解きをしてくれた。
現下も、兄に教えられ腕をあげつつある。




だが、槍を絶対に諦めたくはなかった。




『また、そんなこといわないでよぉ。お母さんもできたなら、私だってできるもん。』




ルマの母も、丁度1ヶ月前に他界してしまった。
ルマの使っている槍は、母が使っていたもの。
つまり形見だ。






頬をプクっと膨らますルマ。
すると、兄はポンポンとルマの頭を撫でる。




「冗談だ。頑張ろうなっ。」




『うんっ』



そして、ルマは再び稽古を開始した。






何時間かすると、ルマを”あの悪寒”と”あの痛み”が襲ってきた。






『――っ!』




ルマは、苦しさを隠しきれず胸と左目を抑え、膝をついた。



「ルマ!…また、あの痛みか?大丈夫か!?」




『う、うん。…大丈夫。平気。』




ルマは、十一歳のある日。ものすごい苦しみと痛みに襲われた挙げ句、左目の目尻から首もとにかけて、変な黒いアザのようなものができてしまった。



バロニアの医者にみせると、原因不明のアザだという。



兄は、ルマの体調が悪化したら大変だと思い、今日はもう稽古を終わらせ、ルマと家に帰ることにした。











――その日の夜。



ルマは一人、ある花畑に来ていた。


一年中花の咲いている花畑ラントの領域に。



ラント領は、1000年以上も続くいわば伝統的な領だ。




―なんだか今日は、いつもに増して悪寒が中々収まらない。



なんなのだろう…。
この悪寒が込み上げると、色々な気持ちが頭や心を蝕むようだ。



悲しみや苦しみ。
怒りや失望。


色々な嫌な気持ちになる。



『なんだろう…。こんな気持ち…。前にも――っ?!』






突然、ルマの体が光だした。



『何っ?!』




――タスケテ…。


頭の裏を何かがよぎる。
それは、冷たくて悲しい何か。





『私…どうなるの?』




自分の手のひらを満月に透かしてみると、月光が手や体を通り抜けていた。



『消えちゃうの…かな?』




嗚呼。きっとこのアザがあるから、私は消えちゃうのかな。



お兄ちゃん、お祖母ちゃん、お父さん、お母さん。


家族の顔が頭に思い浮かぶ。




私が消えていくのにつれて、さっきの冷たくて悲しい何かの叫び声は、大きいけど何処か遠くで聞こえていた。






































もう、何も見えない。







――ココハ、ドコ?













―01・END

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