TOG‐テイルズオブグレイセス‐

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――おい…。しっかりしろ!





あの、冷たくて悲しい何か。の声は聞こえなくなり、意識の遠くで誰かの声が聞こえていた。









――ココハ、ドコ?








目が覚めない…。覚めてよ!
真っ暗なのは嫌い。

あ、もしかしてもう死んじゃっったから目が覚めないのかな?




そんなこと絶対に嫌だ…。










『ん…っ。』




意識が段々戻っていき、要約目を覚ますことができた。

目を開けようとすると、眩しい光が見える。



そして、ゆっくりとまぶたをあけた…。











目を開けると、目の前には全身真っ白な服を着た青年がいた。


彼は、私が目を覚ますとホッとして笑っていた。





「よかった…。大丈夫か?」




『は、い…。大丈夫です。でも…、私はいつからここで…。』




辺りを見回すと、沢山の花が咲いていた。
まるで、あの夜私が消えてしまった、ラントの花畑のようだった。




それにしても






『似てる…。』




「? 何がだ?」




『でも、そんなはずない…よね?何でもないです。ところでここは何処ですか?』



青年は、私に手を貸してくれて立ち上がらせてくれた。


海を真っ直ぐな目で見つめながら言う。



「ここは、エフィネアのウィンドル。俺たちがいるのは、ラントの花畑だ。」











――聞き間違えだろうか。
名称が全て同じだった。
それなのに、回りを見ると少し違う風景。




訳がわからなくなって、何から考えればいいかわからない。



『エフィネア…、ラント…。全部同じなのに…。』




青年は私を不思議そうな顔と心配するような顔で見ていた。




「自分が何処から着たか、分からないのか?」




『違うんです!えっと…。その…。』



違う。
似すぎている。けど何処か違う。
名前は同じ。けどここではない。



「…とりあえず、ここにいるのもあれだから、家に来ないか?」




『…はい。』






――ラント領・屋敷

ラント領の屋敷に連れられたルマ。

屋敷の執務室に来ていた。



「自己紹介がまだだったな。俺はアスベル・ラント。ラント領の…。領主…の長男だ。」



なんでそんなにつっかえた言い方なのだろう?
少し気にかかった。




『私は、ルマ・リシュウスです。』



私は、執務室にある椅子に腰掛け、アスベルの母――ケリー様が入れてくれたホットココアを飲みながら、アスベルに自分の事を説明した。



『私は、バロニアの連絡港の船を出している父がいました。だから私はバロニアの連絡港で住んでいた。…はずなんですけど。』




私の話を聞きながらアスベルは微妙な表情を浮かべていた。

何でも、船を動かしているのはウィンドルの政府(?)らしい。

全然私の言ったこととは違う。






『どう言うことだろう…。』



「名称も全て同じなのに、なぜ違うんだ…。」




何から何まで考えても、正しい論理が見つからない。



ふと、ルマは思い出した。



ここに来るまでに、魔物に出会ったがその魔物はルマが一度も戦ったことのない魔物だった。


それと、前に本で見たことのある歴史上の物も見つけた。










あり得ないけど…。
もしかしたら…。








『アスベル、今は何年?』




「はっ?」




アスベルはキョトンとしていた。
そりゃそうだろう。
いきなりそんなことを聞くなんて誰でも「はっ?」ってなる。

「えっと…今は―――」











やっぱり…。











『1000年…。』




「何か解ったのか?」




アスベルにこんなことを言っても信じるだろうか…。
というより、自分でも信じがたい。だってそんなこと…。あり得ない。





『アスベル…。こんなこと言ったら変に思うかも知れないけど、聞いて。』




「わかった。」




『私は、エフィネアの1000後から来た。未来から来たんだ…と思う。』





少しの沈黙。
アスベルは、息が詰まるような顔をしていた。



「え?」




『うん。そうなるよねぇ…。』



私は、私の世界であったことを説明した。


十一歳にできたアザのこと。
ラントの花畑でおきた満月の夜の事を。



「十一歳…。」




『アスベル?』




「いや…。何でもない。それより―――」



―――バンッ


執務室の扉が勢いよく開かれた。それと共に、街から大きな声が聞こえてきた。

ラント領にフェンデル軍が攻めてきたのだ。



扉を開けたのは、赤い髪の女の子だった。



「アスベル大変!また、フェンデル軍が北ラント道に…!お爺ちゃんを人質に…。」



すると、女の子は私を見て動揺(?)していた。



「その子は…?」



「説明は後だ。ルマ。俺はこれから、北ラント道に向かう。お前は…。」




『私も行く。力になれるかも知れないし。』




「わかった。行くぞシェリア、ルマ。」




「…うん。」




”シェリア”と呼ばれた女の子はなんだか、アスベルに冷たく接しているような気がした。






――私たちは、北ラント道へ向かった。






_02・終



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