TOG‐テイルズオブグレイセス‐

□03
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――もう一度君に会えると思わなかった。














_03





北ラント道へ向かう、アスベル、シェリア、ルマ、ラントの数人の兵士達。




北ラント道を抜けるのに、幾つかの魔物が現れたが難なく戦っていった。



「フレデリック!」




「お爺ちゃん…!」



シェリアの祖父、アスベルの執事であるフレデリックはフェンデル兵に捕まっていた。


フェンデル兵の後ろには、巨大なロボット型の兵器がこちらに大きな大砲を向けている。



アスベルは、何か作戦を考えついたようで、ルマとシェリアを引き連れて全力で走り出した。
ラントの裏山にある崖を利用して突き落とす作戦だ。


『こっちに来る…。』




「ルマ!気を付けろよ!」




私は、ギリギリまで兵器を引き付けた。




そして―――






――――ガッシャン!!




一体。
崖の下に落下した。



『やった!』




「…ルマさん!あぶない!伏せてっ!」



シェリアの甲高い声が、響いた。
だが、もう遅い。



大砲はエネルギーの力をどんどん増していく。
























――そして、それは放たれた。










「ルマーっ!!!!!」




「ルマさんっ!!」








誰もが、思った。

ルマは死んでしまった…と。








爆煙と共に、人影が2つ。






一人は支えられ、もう一人は支えていた。




『――っ。あなたは…!』




ルマが顔をあげると、ツインテールの少女がいた。




『ソ…フィ?』



少女はこちらを見る。


「立てる?」




『は…い。』




少女に支えられながら、私は立ち上がる。
少女は私を立たせると、次々と兵器を撃退していく。







そして、全ての兵器が破壊された。



アスベルとシェリアは、ただただそれを立ち尽くして見ていた。






二人は口をポカンと開いている。




アスベルは口にした。




「あれは…。ソフィ…?」




「そんなわけないじゃない!だって、あの子はもう…。」




『ソフィ…。』



私も名前を口にした。
少女はキョトンとする。
大きな瞳を三人に向けて、繰り返す。



「ソフィ?…誰?」



少し衝撃を受けるアスベル。
だが、アスベルの話しによると七年前に”ソフィ”はある事件で亡くなってしまったという。


だが、この少女と瓜二つらしい。







私の知っている”ソフィ”とは、同一人物なのかな…。






ひとまず、私たちは屋敷に戻ることにした。





戻る際に、シェリアに詳しくルマの事を話した。

シェリアは勿論、信じられないと言う顔をしていたが、今回の”ソフィ”にそっくりな謎の少女。最近でるようになったと言う、未知のシェリアの力。アスベルの回りでも、不思議な事柄がここ最近になって起こっているらしい。


これらの過程を見ていくと、ルマのタイムスリップには何らかの関係があるかもしれない。



「1000年後のエフィネア…。どんな所なの?」



シェリアは私に問う。
アスベルも耳を傾けていた。



『名称は全て今と同じだけど、やっぱり何処か少しちがうの。ラント領は1000後でも、しっかり残っているよ。』




「そうなのか…。1000年経ってもラント領は残っているんだな…。」



アスベルは、一人何か思い詰めた顔をしていた。




「ルマさん…。」




『ルマでいいよ。シェリアっ』




「あ、うん…。ルマのソの服、少し変わっているわね。1000後はみんなあなたのような格好をしているの?」




『ううん。私、アンマルチア族っていう種族のハーフで、その民族衣装みたいな感じかなぁ…。洋服はあんまり着たことなくて、いつも和服なの。』




「へぇー。そうなの。」



他愛の無い話をしていると、屋敷に到着した。




「種、植える。」

少女はクロソフィの種をアスベルにみせる。


さっき、ラントの裏山に落ちていた物を拾ってきた。
少女が植えたいとねだる。



アスベルは、花壇に植えさせてあげた。



「…これでよし。”ソフィ”できたぞ。」




「ありがとう。アスベル。」




「…どうしてその子のこと、”ソフィ”って呼ぶの?」



シェリアは不満そうに問う。



「なんでって…。名前がないと不便だからな。それに…”ソフィ”とそっくり――」



「やめて。もうあの子は死んでしまったのよ。現実的にあり得ないじゃない! もうあの子はいないの…。変わったんだから、何もかも。」




『シェリア…。』




重い空気に包まれる。



この二人とは、まだ会って間もない。二人のことはよく知らない。



なんだか、何もできない私が情けなく感じて、くやしい。




『と、とりあえず中に入らない?』




「あぁ…。そうだな。」







―その後、アスベルは騎士学校に退学届けをだした。




_03・終



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