TOG‐テイルズオブグレイセス‐

□04
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――みんなが幸せになれないのかな。












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『そっか…。アスベルはバロニアの騎士学校に行ってたんだ。』




アスベルは、今のラントを見て自分しか、ラントを守れない。そう思い騎士学校に退学届けをだした。


「あぁ。もう少しで長年の夢が叶ったんだけどな…。」



アスベルは名残惜しそうにしていた。





『…だけど、君はもう既に、立派な騎士じゃないのかな。』




「え…?」




私は、アスベルに笑顔を向けた。




『さてと、フェンデル兵に攻め込むんでしょっ? 私も、手伝うよ!』



屋敷に戻ったあと、フェンデル兵への対策を練っていた。
アスベルの考えは、海辺の洞窟を抜けるとフェンデル兵の留まってる基地があるらしい。
そこへ、少しの隙ができた今、攻め込むと言う考えだ。



「ありがとう。ルマ。」



―カチャ



執務室の扉が開き、シェリアが来た。


「その作戦に、私も参加させてくれませんか。」




「シェリア!」




それに次いで、ソフィも一言。




「私も行く。」




「ソフィ…。ありがとう三人とも。よろしく頼む。」



作戦決行は、今夜。


私たちは、海辺の洞窟へ向かった。









――――――




[海辺の洞窟]



洞窟につくと、魔物が沢山いた。
ルマ達は少し苦戦していた。


『この魔物…。どんどん分裂していく…。切りがないね。』




「けど、分裂するには少し時間がかかるみたいだ。その隙をついてやれば…。」




『わかった。じゃあ―――』




ルマが、技を仕掛けようとしたとき、また”あの痛み”がルマを襲った。


『――くっ』



「ルマっ!アスベル、ソフィ後は任せるわ。」



シェリアはルマのところへ駆け寄る。
シェリアはルマの、アザをみてアザが激しく脈を打っているのを肉眼で見た。


「ひ…ひどい…。」



『ぅあッ――』




(こんなに脈を打ってる…。どれだけ痛いのかしら…。)




シェリアは、とっさに治癒術をルマにかけた。



アザはだんだんと、正常になっていった。



『あり…がとう。シェリア…』




「よかった…。もう平気?」




『うん。大丈夫。ほんとにありがとっ』




ルマはすくっと立ち上がり、何もなかったかのようにシェリアと二人で、アスベルとソフィのところへ戻った。


ソフィとアスベルは、こちらに気づきルマの様子を伺った。


「ルマ…、痛くない?」



ソフィは、ルマのアザに触れた。


















―ゾクッ



ほんの一瞬だが…。
変な悪寒をルマは感じた。



『大丈夫だよ、ソフィ。ありがとう。』


私が笑顔を向けると、彼女もぎこちないけれど、無邪気に笑った。







ホント…

































”あのソフィ”にそっくり。



今は…
何をしているのかな。



それから私たちは、洞窟の奥に進んでいく。


が、ひとつ問題があった。




「水…。」


ソフィは呟いた。



「泳がないと、進めない場所もあるんだな…。3人とも、行けるか?」




「覚悟があってきたんだもの。私は行けるわ。」




『私も大丈夫っ。ソフィ、大丈夫?』


ソフィは、コクリとうなずいた。



全員の準備が整ったのを見計らって、アスベルを先頭に水に入っていった。





――パシャン








陸に上がると、当たり前だが水浸し。
水を吸って服が重たかった。



シェリアは、ソフィの服をトントンとふいていた。
アスベルとルマは、それをただ見ていた。









アスベルとルマの距離は、肩がぶつかりそうなくらいに近かった。




(シェリア…、何かこっちをチラチラ見ていないか…?どうしたんだ。)





「シェリア…、怒っている時の顔してる。何で?」



ソフィは服を拭かれている間に、シェリアの顔をジーッと見ていたようだ。




「し、し、してないわよっ!」



ソフィは首を傾げた。




『ハッ…ハックションッ!!――ぅぅ。』




「大丈夫か? 風邪引くから、上着を脱いだ方が…ぁ…///」
































アスベルは、目線をしたに下げて見てしまった―――。






ルマの下の着物が、透けていたのだ。



『ぁ…。アスベル…///』




「ぃゃ、その…///ぁ゛…―――」





ほんの僅かの沈黙。












































数秒後――――




アスベルは何故か…
シェリアの平手打ちを食らったと言う。




「最低よっ!女の子の…し…下着を見るなんて!」




「だから、見てないって!ただ…透けていたのをみただけで――」
















私は、こんなシェリアをみた事がなかった。
もしかしてこれが…シェリアの素…なのかな?








―――それから、更に奥に進んだ。







クイーンスライムが現れたが、四人でなんとか倒した。
元々長い間ここに住み着いていたのだろうと、アスベルは言っていた。
そう思うと、殺してしまったのがとてもかわいそうだと思った。


私は、ふと”あの子”の言葉を思い出した。































――”守りたいものがあれば、
何かを必ず犠牲にしなければならない。”大切な人から教えてもらった言葉なの。

犠牲になった人は、不幸になっちゃう。
皆が幸せになることってできないのかな…。













そう考えたら…
みんなが幸せになることって、できないのかな…。



この魔物たちをみて、深く考えてしまった。







アスベルは、まだ作戦決行まで時間があると言う。

私は、アスベルと話していた。



『アスベル、聞いても良いかな?』




「ん?…なんだ?」




『どうしてアスベルは、騎士になろうって思ったの?』




それを聞くと、一瞬アスベルの顔が曇った。
やっぱり聞かない方が良かったのかな…。



「俺は、七年前にある事件を引き起こしたんだ。それで…その事件で”あの時のソフィ”は亡くなってしまった。それから俺は、”みんなを守りたい”そう思って、騎士になろうと思ったんだ。」




『そうなんだ…。七年前かぁ。なんか、七年前って私たちにとって、何か縁のあるものなのかな。』




「そうかもしれないな…。ルマ、お前のアザは消えないのか?」




『うん…。お医者様にみてもらっても、これは原因不明らしいの。だから、消える事はないって考えた方が良いみたい。』




「そうか…。そろそろ、作戦決行するか。」





アスベルは立ち上がり、回りにいるラントの兵、シェリアとソフィに声をかけた。



私たちは、洞窟を抜け慎重に相手の様子を伺いながら進んでいく。




アスベルは、堂々とフェンデル兵の基地に出ていったが―――

















「誰も…いない?!どういうことだ?!」




フェンデル兵の姿はそこにはなく、テントが張られているだけだった。




「相手に気づかれてしまったのかしら…」



シェリアの言葉に次いで、ラント領の方から、兵士が一人やって来た。




「アスベル様!大変です。ラント領にフェンデル兵が進行中です!」




「何だって!?」




『やっぱり、相手に感ずかれたのかも…。』




「今のラントの警備は、厳重になっていない!みんな、急いで戻るぞ!」












私たちは、急いでラント領に戻った。




時間がない。
ラント領は絶体絶命の危機に陥った。





_04・終


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