TOG‐テイルズオブグレイセス‐

□06
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――会えなくなってしまうの?
もうずっと…。――






























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ヒューバートへの正式な面会は、明朝まで待つようにと言われた。


私は、”今のエフィネア”について何も知らない。
”今のラント領”をアスベルに案内してもらうことにした。
シェリアは、後に来ると言っている。

アスベル、ソフィ、ルマでラントの花畑へと向かった。









[ラントの花畑]







『ここは、他とちがって雰囲気がとても似ている…。』




「1000年後の花畑も、こんな風になっているのか?」




『うん。そだよっ。花の種類は色々増えてる。』




アスベルとルマが二人で座って話をする中、ソフィは辺りをキョロキョロと歩き回っていた。










ソフィを見てアスベルは、あることを思い出した。






「そうだ…。”ソフィ”がここに現れたのは俺たちにとって二回目だが、ルマはどうして”ソフィ”の事を知っていたんだ?」












――そうだ。


ここは、私にとって1000年前。
彼らは”ソフィ”の全てを知っているのだろうか。


いや。
知らないはずだ。”まだ”きっと。

私は時の流れに任せよう。
そう思った。


『私の、知っている”ソフィ”にそっくりでびっくりしたの!だけど、1000年立ってるからあり得ないよっ。』




「そうだった。なんか、ルマが未来人だなんて信じられないな。」



アスベルは、ルマを見てクスッと笑った。




『ぇ。そうかなぁ?まぁ、私も未来人って自覚ないかも(笑)』



実際の所、ルマもアスベル達と自分は何も大差がないと感じていた。

ただ違うのは、自分はアンマルチア族の血を継いでいると言うこと位だ。




アスベルと長々と話をしていると、シェリアが花畑に来た。
シェリアが来る頃には、空がオレンジ色になっていた。
夕日が、ゆっくりと沈む。


ソフィは目を輝かせ、その様子をじっと見ていた。



シェリアは、アスベルにソフィをどうするかと聞いたが、ソフィが自らアスベルと一緒にいたいと言った。


シェリアは何故か一瞬、表情を曇らせた。

ソフィの言葉が気にさわったのだろうか。
私は少し考えた。




「ルマは、私の家に来て。」


私がシェリアの事を考えていると、シェリアは言った。




「シェリア。俺が責任持つから大丈――「大丈夫じゃないです!」



さっきまで冷静沈着だったシェリアだが前と同じく、先程とは違う態度を見せた。




「女の子を男性の部屋に連れ込むなんて…。あり得ないわ!アスベル!いきましょルマ。」



シェリアはプリプリ怒りながらルマの腕を退いていった。





(そんな意味で言ったとはおもわないなぁ…)
私はシェリアには内緒で、心のどこかで思った。


だけど、やっぱり態度があからさまに違いすぎる。
今晩シェリアに、七年前の事を聞こうと決めた。







[シェリアの家]



――パタン


「ほんっと、しんっじられないんだから…」




『シェリア。あのー、その…』



「ん?何か言いたそうね。どうしたの?」




シェリアは笑って答えてくれた。だけど、こんな質問をしたら笑顔がなくなってしまうだろうか。
そう思うと、胸がキュッとなるのがわかった。



だが、ここまで言っといて聞き捨てならないか。




『七年前…。七年前、シェリアには何があったの?』




「え…?」






――消えてしまった。



”七年前”これを聞いただけで、シェリアは笑みを、やはりなくしてしまった。



『わ、私は未来人…。部外者なのかもしれないけど…。アスベルに対する態度が、冷たかったりたまにおてんばだったり…。』




シェリアは、おてんばと言われて、口をパクパクさせていた。否定をしたいのだろうか。

私は、聞きたいことを全て口にした。
















シェリアは、ルマを自分の隣に座らせて七年前、アスベルやヒューバートと離れてしまったこと。バロニアの王子様との出逢いの事。
過去のソフィの事を聞かせてくれた。


シェリアは、七年間。

皆が、自分の周りから消えてしまった事がとても悲しかった。
一人ぼっちでいるのが、淋しかった。



けれど、そんなシェリアの支えになったのは、アスベルが昔拾ってくれた、クロソフィの花だった。今でも押し花にして大事にしていると言う。











「もう、それでアスベルったら超鈍感なのよ!」




『んー。私的には、天然っぽいとおもうけどなぁ。』



七年前の話から、いつのまにかアスベルの話しになっていた。



















(シェリアは、アスベルの事がホントに大好きなんだぁ。フフッ…)








アスベルの事を話すシェリアは、とても楽しそうだった。




シェリアと話すのは、とても楽しい。
ルマは久しぶりに、女の子っぽい事をして、楽しかった。
そう素直に感じられた。























―翌朝―



ルマとシェリアが、朝起きてラントの屋敷に向かった。

すると、ストラタの兵に拘束されたアスベルがいた。
状況がつかめないまま、ルマはアスベルを追いかける。


シェリアは負傷した人を見なければならないと言うことで、ここで離ればなれになってしまう。



「また…離ればなれになってしまうの…?グスッ――」




『シェリア…。』



私はシェリアと約束をした。




















何があっても、必ずシェリアの元にもどってくるよ。
だって、こんな運命的な出逢いをしたんだもん。
さよならは言わないよ。
必ず、戻るからね。











シェリアは名残惜しそうにこちらを見つめ、私はアスベルを追いかけていった。











アスベルを追いかけていくと、
ストラタの兵にラントから追放されていた。




『アスベル!!』




「ルマ…。」






『一帯何があったの?!』




「実は―――」





















―アスベルside―


[ラントの屋敷]


明朝、ヒューバートに面会を頼んだアスベルは、執務室に向かった。





――カチャ

ドアを開けると、ヒューバートが領主の椅子に座っていた。



「ヒューバート。お前が来てくれてよかったよ!これからの、フェンデル兵の動きもわからない。本当に助かった。」




ヒューバートに礼を言うアスベル。
だが、ヒューバートからは刺のような言葉が何度も何度もアスベルに吐き捨てられた。




「あなたはそれで、ラントの領主になったつもりですか?」




「え…?」




「それと、民衆の人々にはまだつたえていませんが、ラント領はストラタの統治下になりました。」




――なんだって?
初めて聞いたぞ。そんなこと。
どうして俺に言わなかったんだ…






「どう言うことだ、ヒューバート!民衆はどうなるんだ?!」



ヒューバートは、くいっと眼鏡を上げて言う。




「そんなこと言って…、あなたは今、ラント領を守れるとおもってるんですか?あの女性と遊んでいたんでしょう?七年間。」




「ルマは、そんなんじゃない!俺が七年間騎士学校にいって、どれだけ訓練したと思っているんだ?!」




「見ていればわかりますよ。僕とあなたの七年間は、格が違いすぎる。…では、今ここで試しましょうか?」




ヒューバートが勝ったら、アスベルをラントから追放する。
アスベルが勝ったら、ヒューバートはアスベルをラントの領主として認める。
と言う条件付きで、二人は力試しをすることになった。




「いくぞ!ヒューバート!」




「かかって来てください。」




先手をとったのはアスベル。
アスベルは、ヒューバートに正面突破をして、剣を振り上げる。


「雷斬衝!!」



――ドシュッ







切りつけた先には、ヒューバートがいる――――
















「っ何?!」




そこには、ヒューバートは既に居ず、アスベルの剣は床に向いていた。





「遅いです。」



後ろを振り向くと、ヒューバートの術がアスベルに命中した。





――パンッ




「ぅぐっ―――!!」




「所詮、あなたはこんなものです。さぁ、約束通りラントから出ていってもらいます。」





アスベルに向けられた、冷たい視線。
本当に、変わってしまった。
アスベルは悲しく思った。





ヒューバートは何も思っていないのか?

前のようにはならないのか…。
七年前のようには…。





アスベルはゆっくりと立ち上がり、執務室を出ていった。






そして今―――。


『…。ヒューバートが、アスベルを追い出したの?』




「…あぁ。」




『たった一人の兄弟なのに、どうして…。』




「きっと、ヒューバートにも理由があるだろ。きっと…。」



数分すると、ソフィもやって来た。
アスベルは、ソフィがやって来た事に驚く。





「ソフィ!着いてきちゃダメだ。シェリアの所に戻るんだ。」



ソフィは、首を左右に激しく降る。ツインテールが激しく揺れた。




「いやだ。アスベルとルマと一緒にいる。」




アスベルは、困ったなー。と言う顔をしていた。
すると、頭の上に電球がついたような顔をした。




「リチャードなら…、リチャードならソフィを匿ってくれるかもしれない。」




『リチャードって、バロニアの王子様?』




「あぁ。あいつとは、昔…。七年前にラントに滞在しに来て、ソフィとシェリア。ヒューバートと俺は会っているんだ。」





アスベルは、やはり七年前の事を口にすると顔が曇った。



ラント領の前で少し長話をし過ぎたようだ。

ストラタの兵が、こちらを睨み付けてくる。
今にでも怒りそうだ。(というか、もい既に怒っている。オーラ的に)




『とりあえず、今はここを離れよう。』




「あぁ、バロニアの連絡港へ向かおう。」




私たちは、バロニアの連絡港を目指す。












―――この先、何が待っているかも知らずに。








未来は、予想できないのが怖い。
良いことがあれば、悪いこともある。


ルマは、そんなことを考えていると、ふと家族の顔が浮かんだ。





そしてこう思う。




















――これが私の未来なの?
これが私の今なの?







――歯車は、きちんと回っている。












06・終


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