TOG‐テイルズオブグレイセス‐

□09
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――再会愛しい想い。



























_09





『アスベル…。あそこにいるのって…!』




「っ…!あれは、…リチャード?!」



――リチャードが他界した。

そう噂されていたのを耳にした、ルマ達はバロニアの聖堂から、隠し通路を通って城内に潜入していた。








しばらく進んでいると、ブロンドのミディアムの髪が目立つ青年が倒れ込んでいた。










アスベルは一番人に駆けつける。
その後ろを、ルマとソフィは追いかけていった。



「しっかりしろ!…リチャードなのかっ?!」




「アス…ベル…?」




ブロンドの青年は、胸ぐらを強く握りしめて、苦しそうにしながらアスベルを見つめた。



まるで、その目は絶望や悲しみ
の冷たい目をしているようだった。ルマは、その目を見て自分も段々と悲しみが込み上げてきた。




(なぜだろう…。急に悲しくなってきた…。)



今にでも、涙がこぼれそうだ。
ソフィがそれに、気がつき不思議そうにこちらを見てくる。
私がニッコリ笑って見せると、ソフィは首を傾げてニッコリ笑ってくれた。
まだ、ぎこちない笑顔で。



アスベルは、リチャードに肩を貸し、立ち上がらせた。






「アスベル…。君が今此処に来てくれないか…。君が今、此処にいたら…。僕はそんな事をおもっていた。そしたらまさか君が本当に現れるなんて…。本当に僕は嬉しいよ。」





二人の再会を私は眺めていた。











そんな中で、何だか急に私をある想いが襲った。




―ルマside―








最初は、顔があんまり見えなかったけど…。リチャード殿下はお兄ちゃんに似ている。


私は、お兄ちゃんにくっついて歩いてた。
友達があんまりいなくて…。
だけど、そんな私の一番最初になってくれた友達は――――。






お兄ちゃん…。”
ソフィ





胸が苦しくなる。
今ごろお兄ちゃんは、何をしているのかな?
大切な”あの子”は今ごろ何をしているのかな?





私はしばらくの間、兄や”あの子”を愛しくなってしまった。








―All side―


「殿下。ご無事で何よりです。」




「そんな固くならないでくれないか?君と僕の中だ。」




「し、しかし。身分をわきまえると…。」




リチャードはいたずらっぽく笑ってこう言った。




「僕が頼んでも?」




「うっ…。わかったよ。これでいいんだろ?リチャード。」




「ところで…。その二人は?もしかして、こっちはソフィ?!」



リチャードは、ルマとソフィに視線を向ける。



リチャードも、ソフィは死んでしまったと聞かされていたらしい。


アスベルは、私のことも含め、今までの事を全て話した。




「そうだったのか…。」




リチャードは、ルマをチラッとみる。
きっと、アザが気になるのだろうか。



「ちょっといいかい…?」



リチャードはルマのアザに触れようと手を伸ばそうとした。



























その時――――















ルマは背後に気配を感じた。









―――バンバンッ!





ルマは瞬時に自分の胸にしまっていた銃をとりだし、背後の敵に銃弾を食らわせる。







――トサッ





「この人達…。」




ソフィは、倒れ込んだ人を覗くと、それはさっきルマ達を追いかけてきた騎士たちだった。





「リチャード!」




アスベルは大きな声を張り上げる。
リチャードの後ろからも、騎士が迫っていた。




アスベルは、剣を抜き騎士たちに立ち向かう。





「魔神剣っ!!!」




アスベルは難なく騎士達を吹き飛ばした。
騎士達は、そのまま倒れ込み気絶してしまった。



アスベルはリチャードの様子も伺いながらいった。




「今のうちに逃げよう。リチャード、道を案内してくれないか?」




「わかったよ。こっちだ。」




リチャードとアスベルは、先頭を切って歩き出した。
その後ろをルマとソフィはついていく。










ルマは、気がついたらソフィの手を握っていた。

ソフィはルマを見上げ、首をかしげる。



『ソフィ…。今だけ手を繋いでてもいい?』




「うん。ルマの手、暖かい。」



私たちは、再び歩き出した。




_09・終


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