TOG‐テイルズオブグレイセス‐

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(オネガイ…ヒトリニ…ヒトリニ…シナイデ。)













『っはぁ!!…ハァ…ハァ…。ゆ…め。』




「ルマ!!」




『アス…ベル? ここは…。私は一体…?』




アスベルはルマが倒れた時の事を話したあと、皆を呼びに言った。


どうやらデール公のところにたどり着いたようだ。
今はデール公の屋敷にいる。
ルマは客室のベットに寝転がっていた。





『うぅっ…?!』





なに…。
頭が割れそう…。
私は…私は、何かを忘れてるの?








ラムダ







その言葉を思い出すと、胸が痛くなり『アザ』がまた、強く激しく脈を打つ。





『痛っ…。』




手で『アザ』優しく撫でると、次第に痛みは引いていった。





―ガチャ







『ぁ…。みんな。』




「ルマ!大丈夫っ?!」




パスカルが最初に声をかけてくれた。




『うん。ごめんね。心配かけて。』




「ルマ…。もうどこも痛くない?」




ソフィは、大きな紫色の瞳を揺らがせ上目で見てくる。
ルマは小さな頭をポンと撫でる。




『大丈夫だよっ、ソフィ。ここに来るまで、声をかけてくれてたんだよね?ありがとう。』




ソフィの顔はパァッと明るくなる。

すると、ソフィは一輪の花をルマに差し出した。

ソフィの手を見ると、泥だらけになっていた。
きっと、花があんまり咲いてなくて一生懸命探したのだろうとルマは思った。




『くれるの?ありがとっ。ソフィ』




「どういたしまして。」




ルマがお礼を言うと、アスベルから教えてもらった言葉を口にした。




「あんまり無理をするなよ。前にも同じ症状があったんだし。」



アスベルが言う症状とは、『アザ』の事。



『ぁ、うん。わかってるよっ』




ルマは苦笑した。
無理をするなと言われても、今はリチャードの命を守らないといけない。
無理をしてでも、命は大切なものだから…守らないといけない。




「ん〜。ねぇ、あたしちょぉっと席を外してもいいかな?」




「あ、それなら俺も行くよ。色々買いたさないといけないものもあるし。ソフィはどうする?」




「アスベルといく。」




そう言うと、アスベル、パスカル、ソフィの三人は席を外した。
ウォールブリッジの作戦は、ルマがもう少し落ち着いてから具体的に話すと言っていた。




部屋に残ったのは、リチャードとルマ。




『あの…。リチャード。』




リチャードは優しい頬笑みをルマに向けた。




『あ…。』




やっぱり、お兄ちゃんにそっくり…。


なんだか、胸がきゅうっとした。




「どうしたんだい?」




『あ、ごめんっ// えと…。私をおぶってくれたんだよね?ありがとう…。お、重かったでしょっ?』




「んー。重くないよ…と言ったら嘘になるかな。」




真顔で言うリチャードにルマは『えっ!?』とびっくりしていた。






すると、リチャードはクスッとイタズラっぽく笑った。




「冗談だよ。全然重たくなかった。むしろ、君はもう少し食べた方が良いんじゃないか?」




『んもうっ! 真顔で言うから本当だと思ったじゃないっ!』




「あははっ…。ごめんごめん。」




『もーっ…。あ…れ?』































ルマが自分の頬を触れると、暖かい雫が頬を伝っていた。





「!? どうしたんだい。」





リチャードはルマの顔を除き込むと、泣いていたので驚いた。




『わ…かんない…。だけ、どね、一つだけ。一つだけわかるの…。』




リチャードは私の頭を撫でてくれる。




「なんだい?」


ルマは、一つため息をついていった。






『…グスッ…。リチャード…リチャードがそばにいると…とても落ち着くの…。』




「ルマ…。」




リチャードは優しい目でルマを見つめた。
さらにリチャードは、ルマを抱きしめ優しく包んだ。




「こうされると、もっと落ちつく?」




『うん…。なんでだろ…。お兄ちゃんに似てるからかな…。』




「…。兄上…か。」







―――ガチャ





「たっだいまぁ〜…って! わぁ!なになにっ!?二人って、そんな関係?!」




しばらくして―――
ルマとリチャードにとったら、さほどの時間ではなかっただろうが、パスカルが勢いよく扉を明けて入ってきた。
それに続き、アスベルたちも入ってくる。


二人はアスベルとソフィが見る前に、パッと体を離した。




「ね〜ね〜。そうなのっ!?そうなのぉ?!」




「何がどうしたんだ?」




アスベルは見ていなかったため、パスカルに問う。
パスカルは、うきうきしながらアスベルに言った。



「ルマとリチャードが、ぎゅうってしてたんだよぉ! はぁん〜♪」




『あーっ!ち、違うの!決してそんな事じゃなくて、リチャードは私を落ち着かせてくれて…。』




ルマが否定をすると、アスベルとパスカルはリチャードを見る。




「そうなのか?リチャード。」




「あ、あぁ…。」




リチャードは、ぎこちなくだが否定をした。



ソフィはそこで一言、言った。




「ルマとリチャードは友達なんだよね?」




大きな瞳をルマに向ける。



『うんっ!私たちは友達!』




「だからぎゅうってしたんだよね?」




『ぁ…。うんっ!』




そう言ったら嘘になるのかな…
だけど、きっと違う。
この気持ちは…。違う。








パスカルはぶぅっとして


「な〜ぁんだ。違うのかぁ」




「なんでお前ががっかりしてるんだよ。」




アスベルが突っ込みをいれる。




「えぇ〜?だってぇ、恋が芽生えたかとぉ」




「…恋か。」




『っちょ!なに呟いてるの///』




リチャードはフフっと笑って




「別に悪くないなって思ったんだ。」




と言った。













































そんなこと言わないでよ。









ルマには複雑な気持ちが芽生えた。





_12・終
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