TOG‐テイルズオブグレイセス‐
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翌日、ウォールブリッジの作戦が実行され
作戦は着実にこなされていった。
南のレバーの場所までやって来た。
アスベルは一息つくと言った。
「ようやくだな。このレバーを引けば…」
『うん!作戦は成功ってことだよね』
「じゃあ、レバーを引くよ。」
リチャードが皆の顔を見て、了解を得た。
――ギギィ...ガタン!
レバーを引き終わると同時に、外から歓声の混じった気合いの声が聞こえてきた。
どうやら、作戦はうまくいったようだ。
ソフィがルマをみてにっこりわらった。
後でパスカルが羨ましそうにしていたが
ソフィは見向きもせず、走っていった。
パスカルはそれからズーンとテンションが下がっていた。
ルマは
ドンマイ。パスカル。
と、パスカルの後ろ姿に語りかけた。
「皆のお陰で、うまくいったよ。ありがとう。」
リチャードはルマ達、一人一人の目をみてきちんと礼をした。
いつもと変わらない、声。目で…。
ただ違ったのは―――
(なんだろう…。なんか一瞬、リチャードが怖いけど…愛しい…に近い気持ちに…なったのかな…。なんだろう…。私、最近おかしいよね…)
ルマの気持ち。
「んー?ルマー。どうしたのした向いて。いくよーっ」
『あ。うん…。』
ルマは何もなかったようにはできず、おかしな歩き方(まるでブリキのおもちゃのような歩き方)をしてみんなのもとへ向かい、塔から出た。
「はぁ〜。やぁっと終わったね!疲れた疲れたぁ。」
「ルマ。今日のごはんなに?」
ソフィもパスカルと同様、疲れたのかな。と思いながらルマは言った。
『んー。今日は、ソフィ頑張ってたからカニタマにしよっか!』
「カニタマ!食べる。約束だよ!」
『うん。もちろんっ。約束だよ』
小指と小指を結ぼうとした瞬間。
その間を、大きなブーメランの様なものが通った。
ソフィは反射的に手を引っ込めたが―――
『ッ――――!!』
「ルマ!!」
ルマの小指が、体から離れてしまっていた。
『ぁ…。っぁ…!!』
「「「「ルマ!!」」」」
その場に居た全員がルマの手を見る。
『あ…。みん…な。私、私は痛くない…よ。自分で治癒するから…。』
アスベルが一番に近寄りルマの手を自分の手で優しく包んだ。
そして
なぜか、自分のことのように悔しがる。
「俺が…いながら…。ごめんな…。」
『アスベル…。謝らないで…。』
「なにをしているアスベル。敵が後ろにいるんだぞ。背中を見せて…どうするッ!」
―――ブンッ
その言葉が途切れると同時に、アスベルの背中めがけて『それ』は放たれた。
「危ないっ!」
ソフィはアスベルの前に立ち、自ら風ねようなものを出して『それ』を吹き飛ばした。
「…やっぱり。教官でしたか。」
「俺は教えた筈だ。任務を遂行するまで、油断するなとな。」
「もう決着はついた筈だ。」
リチャードはマリクに堂々と言う。
「さて、どうでしょうか。殿下。ここで、私たちがあなたを倒したとすると、形勢逆転ですよ。」
「応援はもう来ている。かなわない筈だ。」
「まだわかりません。アスベル。師だからといって、手加減するんじゃないぞ。」
「教官――「フォトンブレス!」
「っわ!」
「油断するなと言ったはずだ。」
マリクはアスベルに術撃をしかけた。
「くそ…。ルマ、今はここにいろ。動くなよ。」
『アスベル…!』
アスベルはそれだけを残し、ルマを物影に隠して行ってしまった。
私って…
役立たずだな。
13 終
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