TOG‐テイルズオブグレイセス‐

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私って



すごく役立たず







みんなの足、引っ張ってばっかり…











こんなことなら



















もう…




































人と関わらない方がいいのかな





















ソレナラ、ボクラトイッショニ、イコウ?













『え…?』





ルマの頭の中に
初めて、花畑で聞いた声とリチャードにそっくりな声が重なって聞こえてきた。









『リ…チャード…?』




そんな…まさか、ね。


だってリチャードは今、戦ってるんだもの。












ルマの目から温かいものがこぼれ落ちる。


ルマはそれをぬぐおうとした。












『っあ…れ? どう、して?!』








ルマは、あり得ないものを目の当たりにした。




























『指が…。治ってる…。』






自分の体が恐ろしいほどの自己再生再生能力を発揮した。















『うぅ…。ふぇ…。私の体どうしちゃったの…。グスッ…。』








―――カランッ!





『っあ…!』




前方で金属音が鳴り響く。

顔をあげると








「腕をあげたな…。アスベル」





マリクと二人の兵が、膝をついていた。








リチャードは鞘からレイピアを抜き
マリク目掛けて降りおろした。







『っあ!だめ――――!!』





ルマが止めようとしたその時。








「やめろ!リチャード!」




「アスベル…。こいつは僕を殺そうとした。どうして止める?」




「教官はやりたくてやった訳じゃない。」




「そ、そうだよ!これから検討すれば…ねっ!」





アスベルとパスカルが必死で止める。
だが、リチャードはそれを黙ってきいてはいない。














「うるさい!ウィンドルの王は、この僕だぁあぁあぁあ!」






『だめぇええぇえぇ!!』














ルマは急いで飛び出した。

「「「ルマっ!!!」」
























――ギュッ





ルマはリチャードを後ろから抱き締める。


力強く。
















「!!??」




リチャードはとっさの事に、動きを止めた。


レイピアはマリクの頭まで、あと数センチほどだった。





『おねがい…。やめ、てっ…。そんなの…。そんなの、あなたじゃない!リチャードじゃないっ!』




「ルマ…。っ…。あれ…僕は…。」





「リチャード!」



アスベルがリチャードに駆け寄る。
リチャードは、足を崩していった。
体の芯から力が抜けていく。

まるで、操り人形の操りがとけたかのように、リチャードの体から何かが抜けていくようだった。




「…。」


ソフィはそんなリチャードをアスベルの後ろから黙って見つめる。








『リチャード…。大丈夫…?』





「あぁ…。さっきの話は…。取り消すことにするよ。どうかしてたみたいだ…。」




アスベルはリチャードの手をとって、リチャードを立たせた。


パスカルがルマの手を見る。










「あ…れ?!ルマ、その手…。」




『あ…。』




ルマは手を隠す。




『おかしいよね…手、治ってたの…。怖いよね…。気味悪いよね…。ごめん…っ』






「ルマ!!」







ルマは、走ってどこかへ行ってしまった。




「パスカル、ルマどうしたの?」



ソフィはさっきの様子を見ていた。




「うん…。それがね、ルマの手が治ってたの。」




「手…?」





「うん…。」




パスカルとソフィは、ルマの走る後ろ姿をただただ見ていることしかできなかった。








14・終
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