□打ち上げ
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「なぁ」

「何だね?」


久しぶりに訪れた執務室のソファーに沈みながら、エドワードは口を開いた。

黙々と書類に向かっていたロイは万年筆を動かす手を止め顔を上げる。

怪訝な表情を浮かべるロイに、エドワードは本棚を整理しているハボックにちらりと視線を向けた。


「はぁ……」


エドワードの視線の的になっているハボックは、疲れたように深く一つため息をついた。


おかしい。
ハボック少尉がおかしい。

そんなエドワードの心配に気付かず、よろよろとドアの前に立つと、

「失礼します」

と死にそうな声で告げでていった。

「何、何が起きた!ハボック少尉があんなに暗いとかまじありえねーし!」

「皆、疲れが溜まっているんだろう。最近忙しさに拍車がかかっていたからな」

「皆……って、皆あんな感じなのか!?」

「中尉なんかイライラしっぱなしでな。全く、怖いったらないよ」

「へぇ…」


いつも鬼のような中尉がもっと鬼になっているなんて、と想像してエドワードの背中を悪寒が駆け抜けた。

そんな中尉会いたくねーし。

どうにかなんねーのかよ、と万年筆でロイの額をぐりぐりしてみる。

あまり意味はないが。

ロイは一度エドワードに視線を移すと万年筆を掴んだ。


「……やはり今夜、か」

「は?」

「全く、今日はエドワードが来ているというのに…」

「え?」

「まぁ、仕方がないな、あエドワードソファーで待っててくれ」

「は?ちょ何?」


声をかけても、もうロイには聞こえてはいないようだった。

エドワードは諦めてソファーに戻るともう一度ソファーに沈みこみ目を閉じた。
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