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□路地裏の猫
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「何だよ、そんなもんで俺がビビると思ってんのかよ。」
少年はダミ声のチンピラをキッと睨む。
「でけぇ口叩けるのも今の内だぜっ!」
ダミ声のチンピラが少年をナイフで切りつけようと腕を上げた瞬間に「おい!そこで何をしている!!」と男の叫び声が路地裏に響いた。
「チッ。逃げるぞ!」
叫び声を聞いたチンピラ達は慌てて逃げ去って行く。
「待てっ!!」
声の主はチンピラ達を追いかけるがどうやら見失ったらしく引き返し、呆然としている少年に心配そうに近寄る。
「君、怪我はないかい?」
男の正体は警察官であった。多分誰かが通報したのだろう。
「…って君は藍咲君じゃないか。」
藍咲と呼ばれた少年は長身の警察官を恨めしそうに見上げる。
「ポリ公…てめぇまた俺の邪魔しやがって…!!」
「僕の名前はポリ公じゃなくて森井光太郎ですよ。藍咲礼於君。」
森井はにこにこ笑いながら礼於の頭をポンポンと叩く。
頭を叩かれる事に憤りを感じた礼於は森井の胸ぐらを掴もうとするが、身長が森井の方が余程高いためか手が届かない。