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□路地裏の猫
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ネオンが輝く夜の繁華街。サラリーマンやOLが行き交う交差点―。
そんな中、高くそびえ立つビルの間の閑散とした路地裏に幾つかの人影があった。
「てめぇ、誰に喧嘩売ってんのかわかってんのかぁ?」
最初に声を発したのはスーツをだらしなく着崩したダミ声の男である。
どこにでもいるようなチンピラだ。男の後ろには5人ほどの仲間がいる。
「だから、アンタ達みたいな奴を見てると虫酸が走るって言ってんだよ。」
チンピラの前に立っている「いかにも不良です」といった感じの金髪の少年はニヤリと笑って言った。
「この餓鬼っ!!」
頭にきた他のチンピラが少年を殴ろうとしたが、少年は拳をかわしてチンピラの腹に思いっきり蹴りをいれる。
蹴られたチンピラは「うっ…」と小さく唸って後ろによろめく。
「ふんっ、弱っちいな。」
人を馬鹿にしたように鼻で笑い、チンピラ達にかかってこいと言わんばかりにボクサーみたいに拳を構えた。
「ほぉー?なかなかやるじゃねぇか兄ちゃんよぉ」
ダミ声のチンピラはスーツの懐に手を入れサバイバルナイフを取り出して刃をギラつかせた。