SSS

□拍手LOG
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「ふざけた事ぬかしやがったヤツラだ、片っ端から奪って来い」


敵船との戦闘に圧勝したキッド海賊団

クルー達に戦利品の略奪を言い渡すと、キッドは一足先に船長室へと戻った



倒れ込んだベッドが軋ませる音を聞きながら目を閉じれば、先ほどまでの戦闘の様子が目に浮かぶ



『海賊王』を嗤った者との戦闘の後は至極機嫌が悪い、と、誰も船長室へは近づかない

「キッド、入るぞ」

この男、キラーを除いては





「またか」とため息を一つついてベッドへ歩み寄ったキラー



「引っ張るなよぉ、耳が取れちゃうじゃないか」

「『触んじゃねぇ、てめぇの耳を引きちぎられてぇか』だ、キッド」

「『触んじゃねー、てめーの耳を引きちぎられてーかぁ』ほら言ったんだから、離してくれよ」


もう一度ため息をついて、握っていた白い物から手を離すキラー


「いい加減、戦闘が終わるたびにソレを抱えるのを止めろ」

「だって、アイツらも僕が海ぞ…」

「『俺』っ!」

「俺が海賊王になるって言ったら笑ったじゃないか……」



手に持った白ウサギのぬいぐるみをクネクネといじるキッド

「いいだろ、みんなの前では頑張ってるんだからさぁ。このフワフワ、落ち着くんだよ?キラーも怒ってないで、自分の髪でフワフワすればいいんだ」



キラーが蹴り飛ばしたゴミ箱は、激しい音を立ててドアにぶつかった



その体格、腕力、戦闘センス
そして、悪魔の実の力
『頭』と慕われるカリスマも!

それほどのモノを持ち合わせているのに、なんだそのウサギは!

せっかく俺が悪人面になるように考え抜いた化粧と表情、髪型も台無しだ!



「海賊王を笑われた時以外は、大丈夫になったんだしさ。キラーにも貸してあげるから、まぁ落ち着きなって」


マスクから蒸気が出そうなほどグルグルと渦巻いていた怒りが、平和ボケにしか聞こえないセリフで萎んでいく


顔を合わせないまま、キッドの横に腰をおろせば渡された白ウサギ

落ち着くのは分かる。だが、こんなモンで和んで欲しくないのを分かってくれ


そんな事を思いながら、こねくりまわしていれば、いつの間にか出なくなっているため息



「か、頭ぁ?全部積んだぜ?船、出していいか?」

「あぁ、出せ。今、行く。山分けするだけの宝は持って来たんだろうなぁ?」


寄せ集めてポフポフと遊んでいた俺の髪から手を離して立ち上がるキッドは、すっかり"キャプテン"に戻っていた



「キラー、大丈夫だったか?今日もドアか何か、すげぇ音がしてたけどよぉ…髪もボサボサになっちまって…いつも悪ぃな」

「気にするな、俺の仕事だ」



白ウサギを枕の下に戻すまでがな
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