トラッカー日誌

□目覚め
2ページ/2ページ

 「輝ぅ〜いつまであんたは探してるの??工場長待ってるよ!」
 同い年ぐらいの女性がお盆を持って入ってきた。
 「待ってよお嬢〜これから持って行くから…ちょっとさ…」
 輝[ヒカル]と呼ばれた人は私の方をチラッと見た。その目線に気付き女性はこっちに振り向く。
 「あれっ起こしちゃった?ごめんね。具合どうかな?」
 なぜかまた謝られた。まさか姉弟なのか?それにしては似てなすぎる。関係が分からない。

 「早く工場長の所に行きなよ。朝食は準備しとくから」
 「アイサー」
 男は棚の上にあったノートを持って部屋を出て行った。   少し香里奈似の女の子は男を見送りこちらに振り向き言った。
 「どう?具合悪くない?なんか食べれそう?」
 美代梨は少し間を空け頷いた。
 なら良かったと言って持っていた盆を机に下ろし、本人もソファーに腰をおろした。小皿と楕円形のお皿が乗っていた。楕円形のお皿には黄金色の液のかかったフレンチトーストがのっている。
 「飲み物何飲む?牛乳、コーヒー、麦茶や紅茶その他レモン、アップルティーとかあるけど…」
 まさかの種類の多さに戸惑った。どこかの喫茶店なのだろうか?
 「えっ…あっとじゃあレモンティーでお願いします」
 はいよ、と言って彼女は立ち上がりながら、ちょっと待ってね、と言って時計の下の棚に向かった。その背中に話し掛けた。
 「あの…すいません。あの男の人とはどのような関係なんですか?
あと、ここはどこなんでしょうか…?」
 彼女は湯気のたつマグカップを持ちながら振り向いた。そしてティーパックを上下しながら微笑みいった。
 「あいつは私の幼なじみの宮下輝。ちなみに私は佐々木香奈。
そしてここは、
[美奏丸一家]の本社[総合運送会社(有)鶴舞急送]よ」
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ