オリジナル

□きっと、寂しいくらいに君が好き。
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もしかして君は僕が思ってるよりずっと心配性なのかな。
僕がどこかへ行くわけがないよ。
君が僕を置いて何処かへ行ってしまうことはあるかもしれないけど、僕が君を置いていくことはない。
だからそんな心配しないで。




「嫉妬とかしないわけ」

名無しさんはトーン低めに僕に言い寄った。

「何?」
「聞いてるの、嫉妬心とかないのかって」
「何の話?僕に嫉妬して欲しいことでもあったのかい」

すると、名無しさんは静かに首を横に振った。

「翔の話を聞かせてよ。何でそんな私に無頓着なのよ」
「あー、別に興味がないからかな」
「は!?」
「だって君は何処にも行かないでしょう」
「分からないじゃない」
「行かないよ」

今まで君をたくさん見てきた。
だからこそ分かる。
君は何処へ行っても、必ず僕の所に帰ってくる。

「行ったとしても、僕らは何度も出会うよ」
「・・・何よそれ」
「僕は僕の方から名無しさんと距離を置くことはないから」
「・・・」
「君が欲しい言葉はいつでもあげるからさ、だからそんな心配しないで」

泣き出しそうな名無しさんの顔を見て、そっと手を握った。
僕は今名無しさんに何もしてあげられない。
ごめんねも、ありがとうも、今は言えない。
好きだよも、愛してるも、今は言えないんだ。
それでもこんな時、いつも繰り返し思うよ。





きっと、寂しいくらいに君が好き。
(君のことをこれからも見守りたいんだ)

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