ヘタリア

□本音の表
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男も女もそうですよ。

素直になれたらどんなに楽なのか。

それを知ってるだけで世界は違って来るんだよ。






「おい、アーサーくん」
「は?」


突然名前に「くん」をつけた名無しさんに対して、アーサーは眉間に皺を寄せた。


「何だよ」
「君に言いたい事があるんですけどー」


アーサーはめんどくさそうに「はいはい」と二つ返事をした。


「アンタ、何様だ」


「・・・は?」


何だコイツ。
いきなり話しかけてきてこれかよ。
つーか。



「意味が分からねぇ」


言い放つと、名無しさんは机をバン!と叩いた。


「な、何だよ!」
「何だよじゃない、バカ」
「だから何なんだよお前はっ」
「今日、私が貴方に何をしたでしょうか?」
「・・・ん?」
「何をしたかって聞いてんのよ」
「ん、あぁ・・・何かしたのか?」


べちん!


名無しさんのビンタがアーサーのほっぺに直撃した。


「いてっ」
「今日、私は貴方にプレゼントをあげました」
「・・・はい・・・」


ものすごい剣幕で睨んでくる名無しさんに頭が上がらなくなったアーサーは、大人しく話を聞く事にした。

次は何を問いただされるかも分からずに大人しく待っていた。



「嬉しかった?」

「・・・え」


予想外の質問にアーサーの思考は停止した。

嬉しかった・・・?


「な、に」
「嬉しかった?」


顔色ひとつ変えずに聞いてくる名無しさんの顔をまじまじと見てみる。

嬉しかった、って・・・。
そりゃ、名無しさんから貰ったものは何でも嬉しいけど・・・じゃない!
何考えてんだよ!


「・・・何で赤くなってんの」
「な、なななってねぇよバーカ!」
「噛みすぎだよ」
「う、嬉しくなんかねーよバカ!勘違いすんな!」


言った瞬間に、名無しさんの目が大きく見開いた。


「・・・あ、そう」


今までの元気はどこへ行ったのか。
しょんぼりとした感じで立っていた。


座り込んだ俺と立ったままの名無しさんのまま、しばらく時間が経った。

なんとも言えないこの空気で、誰かが話さないといけない事にやっと気付いた。


「な、なぁ」
「・・・」


名無しさんは少しだけ目をこっちに向けた。


「少しだけ・・・」
「え?」


「少しだけ・・・嬉しかった」


そしたらさっきよりも元気になっちゃって。名無しさんは現金な奴だってまた改めて思い直す1日だった・・・気がする。











本音の表

「で、何であんな事聞いたんだよ」
「だって、お礼が無かったでしょ」
「狙いは見返りだったのか」
「うん」

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