ヘタリア

□ばかぁ!
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はっはっはっはっ。
今日は名無しさんが家に来る日だ。
普段じゃ当たり前の事過ぎて、気にもしないこの俺。


でも今日は一味違うぜ!


今日は何かよく分かんねーけど、記念日らしいからな。
うん、本当に全然分かんないんだけどさ。


つまり、俺の腕の見せ所ってわけだ。
さて・・・



何を作ってやろうかな?







昼になって、名無しさんが家に着いた。
名無しさんは家に入った瞬間、何か危ない空気を察したのかキョロキョロし始めた。
もちろん、アーサーが気付くわけはない。


「お、名無しさん来たか」
「う、うん・・・」


って、何でコイツエプロン付けてんの?
え、やだソレ。何コレ。無理アレ。

アーサーは名無しさんを席に着かせて一言言った。


「もうすぐ出来上がるから」









何がぁぁぁぁぁ!?



何が出来上がっちゃうの!?
ヤバイよ、コレ!
もうこの空気だけで拷問じゃん!



少ししてから、テーブルの上に危ないものが置かれた。


「アーサーさん」
「あ?」
「これは何というモノでしょうか?」
「そうだな、俺特製のローストビーフだ!」
「そうですか、いえ、何でもありませんよ」


気付け、「俺特製」に問題があるんだよ。
しかもローストビーフってなかなか失敗できねーぞ。
何だコレ。
炭か。


「遠慮しないで食えよ」
「アンタは鬼ですか」
「え?何で?」
「コレ、出されたものに文句つけんのアレだけども」
「文句?」
「そうだよ、コレどこ食えんのよ」
「あ?お前知らないのか?」


アーサーは得意げに言い放った。


「ローストビーフはなぁ、切ってから食うんだよ」
「・・・」


確かに、まだこの炭の塊は切られてない。
そうだよね、さすがにコレを失敗するわけないよね。
切ったら赤くておいしそうな・・・ちょっと焼きすぎて固くなってるかもしれないけど。

名無しさんは迷わずナイフを肉に入れた。







さくっ。






瞬間的にナイフをアーサーに投げ飛ばした。



「何すんだよ!?」
「おまっ、えぇ!?今の音聞いた!?バカじゃないのアホじゃないの!?」
「お、音が何なんだよぉ・・・!!」
「さくっつったぞ!普通ローストビーフはそんな音しません!」


うぐっ、とアーサーは言葉を詰まらせた。


「と、とりあえず食えよ!文句はその後受け付ける」
「いやいやいやいや!食えないってコレ!即効病院送りだから」
「お前な・・・いくら何でも恋人が作った料理をそこまで貶すか?」
「そこまでのもんなんだよ」
「・・・」


アーサーが、無言でフォークに切ったローストビーフを刺した。
まぁ、もちろんその行き先は。


「あがっ」
「食え」


名無しさんの口。


「何すんのよ!」
「食っとけ、いつか役に立つ」
「立たねぇよ!」


名無しさんは苦いと連呼してしゃがみ込んだ。


「これだったら生肉かじった方が絶対においしいよ」
「言いすぎだ」
「本気だって」














ばかぁ!
「何だったら、失敗しないかな」
「まず火を使わないこと」
「・・・料理するなと?」

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