ヘタリア

□自分で言ったくせに
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実は、ずっと気付いてたんだ。
それはない、とずっと自分に言い聞かせてきたが・・・まぁそれは暗示の前置きだ。

だからこそ自覚した。
そうか、そういう事だったのか。







「おい名無しさん」
「ん?」
「お前、俺の事好きだろ」
「ぶほっ」


飲んでた水を一気に吹き出した。
しかし、ギルの家ではビールが頭に拭きかかることくらい日常茶飯事なので、水くらいでは何も言わない。


「ごめん、何?」
「何度も言わせんなよ、照れんだろ」
「いやいや、何あなた」
「いや〜俺様気付いた!」
「・・・え?」


ギルは恍惚とした笑みを浮かべていきなり語りだした。


「何でお前が俺の家に遊びに来るのかとか、何で俺に飯作ってくれるんだろうとか」
「・・・はぁ」
「考えた、そしたらある結果に辿り着いたわけ」
「はい・・・」
「お前は俺の事が好きなんだろ!」
「見当違いもいい加減にしてください」


何だこの単純明快な脳みそは。
何をどうしたらそんな答えに辿り着くの?


「好きだろ」
「いいえ」
「大好きなんだろ」
「違います」
「愛してるんだろ」
「違うよ」
「照れんなよ」
「照れてねぇよ」


分かってる。
コイツの頭の中は俺様でいっぱいなんだ。
仕方ねーな、おい。


「ま、まぁ付き合ってやってもいいぜ?」
「・・・」
「お前よく見たら可愛いし、つーか美人だしな!」
「・・・夢から覚めなさい」
「照れんなよ」
「照れてねぇよ」


まぁ名無しさんはツンデレだからな。
これも照れてるひとつだな。


「アンタ、どっかおかしいんじゃないの?」
「おかしくなーい、お前は俺の事大好きだからそこまで考えちゃうんだなー、俺の事で頭いっぱいなんだろ」
「まぁよく動く口ですこと」
「もっと褒めろ、このツンデレ」
「褒めてないよ、ツンデレじゃないよ」


本当仕方ねー奴だな。
俺様が付き合ってやってもいいっつってんのに、素直にならねぇんだから。


「あのさ」
「あ?」
「実はアンタの方が私のことで頭いっぱいなんじゃないんですか」
「・・・」


名無しさんは呆れたように言い放った。


俺様が・・・。
名無しさんのことで・・・。


「・・・違う」
「ん?」
「それは違う!」
「何で顔赤いの」
「赤くない!図星じゃない!」
「図星?え?何!?」
「違うんだーっ!お、おお俺はっ俺がお前の事で頭いっぱいとかそーゆう、冗談とかっ」
「すっごい嘘に聞こえるよ、ギル」
「うわっ!名前呼ぶなバカ!」
「・・・」


とっさに、ギルは部屋から逃げ出した。


「なーに、アレ」












自分で言ったくせに
「ねーねーギル」
「うわ!何だよブス!」
「さっき美人って言ったじゃん」
「いや、それは、違うっ」
「私がもしギルの事好きだったらどうする?」
「・・・ばっ、ばばばば馬鹿!!」
「何だそれ」


私より、君の方がツンデレだよ。

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