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□小二病
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「静ちゃん静ちゃん
池袋で強盗が出て今逃走中なんだって
まあ静ちゃんみたいな怪物なら犯人だと疑われても警察を簡単におだぶつにしちゃうよね
ああ!でもそれじゃあ静ちゃんが犯罪者だねあははそれなら極刑で死ねば良いのにね!馬鹿な静ちゃんに教えてあげるけど日本の死刑は縛首刑なんだよあー見たいな暴れちゃって眼球とか飛び出して叫びながら死ぬ静ちゃん
でも化け物だから器具壊しちゃったりするのかな慌てふためくそのへんの人間の顔が鮮明に思いうかぶよ!怒った静ちゃんに殺されちゃうねかわいそうに
そして無限ループだ馬鹿みたいああ馬鹿だったね
おもしろーい」

すべての独り言を静かに聞いた彼の有能な秘書は興味なさげに言った。

「あら、平和島静雄は思い通りにならなくて死んでほしいと言ったじゃない。何がおもしろいの。人間が面白いんじゃなかった?あなた、人間を愛してるって常々口にするけど、人間以外を愛せないんじゃないの?それとも平和島静雄という怪物はそのへんの動物と違って特別なのかしら」

折原臨也は反抗的な矢霧波江に刹那鋭い視線を送ったが、彼女のいれた紅茶を落ち着いたように口に含んだ。

そしてチェスや将棋、囲碁などが並ぶ盤上を動かした。

「波江さんわかってないなあ。犬猫だって嫌いじゃないよ。意思の疎通ができないからイライラするけどね。
だけど静ちゃんは別。なんだろうね、殺してやりたくなる。やっばーいそれじゃあ俺も犯罪者だあはは」

臨也はふざけたように身振り手振りをつけながら言った。

「かい摘まむと、あなたにとって平和島静雄が特別だということね」

彼女は臨也にとどめを刺し、平和島静雄に一瞬思いを馳せる。

彼もかわいそうな男だ。
折原臨也が盗ってきた身につけもしないあまりにも高価な指輪をポケットに入れられるなんて。
折原も小学生みたいな男ね。

そして彼女の思考は瞬く間に愛しの弟へトリップした。

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