二人 の 絆
□Prologue
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『……』
少女は、
本屋でそれを立ち読みしていた。
それは、少女の好きな歌手の書いた詩集。
パタンッ
『ふーん…“新しい事”か。』
少女は本を閉じ、そう呟いた。
『(こんな冴えない自分でも……見付けられるかなぁ…)』
そう思いながら、家に向かい足を早める。
すると、路上に露店がある事に気付き、
何気なく立ち止まった。
店「お姉ちゃん、何か買ってってよ」
『あ…はは……』
店「コレなんてどう?」
『いや…』
アクセサリーを見せ付けてくる店主に苦笑しながら商品を眺めていると、一つのネックレスが目に入る。
鼠型で銅製の真中にハート型になる様に黒い石が埋め込まれた可愛らしい物だ。
『(何だろう……不思議な感じがするな…)』
−――---
『(え?)』
パッと辺りを見回す。
『(さっき…誰かに呼ばれた様な……空耳かな…)』
店「どうしたんだい?」
『あっ……いえ…』
不思議そうにする店主、
それ以上に不思議だなと、思う少女。
『あ、コレ買います…』
少女は先程のネックレスを指差す。
店「毎度あり♪」
代金を払い、
店主にお金を払い袋に包まれたネックレスを受け取った。
『(まぁ…安かったし良いか……)』
袋を制服のスカートのポケットにそっと押し込む。
『(家帰ったら、何か“新しい事”探そうかな…)』
薄暗くなっていく。
彼女はそんな事を思いながら、軽く心を弾ませ家路を急いだ。
これから起こる事など
知る筈もない初夏の夕方の話だ。
《start…》