二人 の 絆


□第06話「A seaU」
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二人「「あー腹減った!」」

しばらく遊んだ頃、
じゃれる事に気を取られ過ぎて、
二人は皆が既に浜辺に上がっている事に今やっと気付いく。

そして、叫びながら上陸して来た。


『おばさんが弁当作ってくれてたよ、ソラ君』

ソラ「マジ!?母さんやるじゃん!」

セル「元気やなぁ…」

カイリ「まだ有り余ってるみたいだね」


セルフィとカイリは、小さな息をひとつ吐いた。
半日遊び、
他のメンバーは疲れた顔色を見せる。


『そんな事ないよ。
自分ももうくたくたでさ、
……どっかの誰かさんのせいで』


そんな事を言いながら、敷物の上に腰を落とす。

彼女だけ泳いだりせずに、
膝まで海水浸かる程度にしていた為、
一人だけ濡れていなかった。


『さて、弁当弁当』

ソラ「知里早く!」

『まぁ待て待て、
弁当は逃げたりしないさ』


そして、ソラの見つめる中、
弁当箱を開いた。


パカッ


『ひぃ!』


カパッ


笑顔が一瞬にして、
引きつった顔に変わる。

そして、奇妙な声を上げると、
開いた蓋を静かに閉じ直した。


カイリ「どうしたの?」

『な、何でもないよ♪
気にしない気にしない!』

ソラ「何だよ!
勿体ぶらずに早く食わせろよ」

『ちょっと待っとけ。
中に虫が入ってるから』

ソラ「は、虫ぃ!?」


彼の方からは弁当箱の中身が見えなかったらしい。

知里は、適当に誤魔化しながら彼女は後ろを向き、
恐る恐るもう一度弁当箱の中を覗く。


『(な、何この“I LOVE RIKU”って…。
こんな物白昼堂々と食えるか!
てかおばさん、リク君と自分が付き合ってると思ってんの?
別に好きじゃ……年下だしさぁ)』


そんな事を思いつつ、
弁当を見つめ続けている。

ご飯のゾーンにふりかけやノリで、
先程の忌々しい文字が描かれていた。

しかもかなりの力作。


『(桜デンプンまでかけてあるよ…。
どうしよう、お腹空いたしご飯食いたいし……あっ!!)』


困りながら視線を上げると、
目先にはさっきトイレに行くと言って、
まだ戻ってきていないワッカの弁当がおいてあった。


『(そうだ、交換ちゃえ。
ワッカ君はボーイズラヴなんだ!
的な事にしよう!)』


人目を見計らって、
ささっと交換。

ソラも他の人達と話しをしていて、
コチラに気がいっていない様だ。


『(一夏の淡い恋が今始まりましたとさ)
回れまーわれメリゴーランド♪
ほらソラ君食べよ』

ソラ「あ?うん。
あれ、何か弁当箱変わってないか?」

『あー、間違えたの。
あれ、ワッカ君のだったんだよ』


先程とうって変わって、
上機嫌な彼女を不思議に思いながらも、
二人はワッカの弁当を悠々と食べ始めた。

勿論ソラはこれが誰の弁当かなんて知らず、
着々と平らげていく。


ソラ「美味いなこの弁当。
……でも、何かこの卵焼き、
いつもと味付けが違うような……」

『美味っ、ワッカ君ママ料理――』

「俺が何だって?知里」

『ぶっ!!』


いつの間に帰ってきていたのか、
声を掛けられるまで気付いていなかった。


『ゲホッ!ゲホゲホッ…』

カイリ「知里大丈夫!?」

『へー…きっ……』

ティ「お、俺が人工呼きゅ』

『あ、治った。
食うの再開するわ』


彼なりに心配したのだろうが、それが裏目に出る。
ティーダの発言をまるっきり無視して、
知里は再び食べ始めた。


ワッカ「さて、俺も飯食うかな」


―――この後、弁当を開いたワッカと、
それを見た皆の反応はご想像にお任せします。






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