夢
□戻れない
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「ねぇどうしよう勲。」
「んぁ??なんだ。何がどうしようなんだ?」
あんたのせいだよ、ゴリラさん。
すっとぼけた顔して私を見たその笑顔でさえ、どっかの美術館に飾られてる絵なんかより綺麗だと感じてしまうんだから
「なんかさぁ、私・・・」
戻れない
「うぇ・・・?」
変な声を出して困惑顔の勲が私をまじまじと見つめてる。
縁側で屯所の中庭を見つめながら足をぶらぶらさせた。
「戻れないの。」
一言言うと勲はあごに手をやって考え始める。
考える人ならぬ考えるゴリラ。
「戻れないって・・・何?家?お母さんの顔が見れないようなことやらかしたのか?こら!またどっかの男連れ込んで・・・いや、トシか?!総悟・・・山崎か?!」
「違うってばぁ・・・そんなアバズレじゃないよ。」
思い込んだことをまくしあげられると大変なので勲を止めた。
そうすると勲は目をぱちくりさせる。
・・・勲の目にはそんな風に映ってるんですかね?
私は。
どっかの童話のピーチボーイみたいにひょいひょいやらないよ。
彼は体じゃなくてきび団子だけど。
止められなくて、戻れないの。
気持ちが。
勲の姿が日に日に私の目に焼き付けられる。
「私は、好きな人にしか体は預けない」
そりゃよかった、って笑った勲。
「最初は勲って決めてるから。」
半分嘯いて笑ったら、勲は目を見開いた。
「えっ・・・それはどういう意味・・・!?」
勲をチラリと見て微笑んだ。
それから縁側から立ち上がる。
「そういう意味。」
勲のいる反対側に歩いていったら、後ろからガタ、って立ち上がる音が聞こえた。
「―決心ついたら、私の部屋に来てよね」
捨て台詞みたいに、ふざけて言ってみる。
そしたら貴方に抱きしめられた
貴方の所為で本当にお母さんに顔合わせられなくなった