君に恋焦がれる
□少しの暇つぶし
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少しの暇つぶし
「・・・・言っとくけど今日銀ちゃんはパチンコで・新八は姉御のとこに里帰りアル。」
大晦日も迫って、冬は深まってきた。
万事屋の玄関をからから開き、着けてきたマフラーを緩める。
「別に旦那や坊ちゃんの顔拝みに来たわけじゃねェ。気にすんな。」
いつもは旦那が座っているイスに座ってる。
こっちに背中向けてぽりぽり机に置いた大量のすこんぶを食べている。
「気にすんなって言われたってサディストに背中向けてるなんて気になって仕方ないアル。」
そう言ってても一向にこちらを向こうとしない。
そんなひねくれた言葉にふっ、と気付かれないように微笑む。
「そーかィ。・・・すこんぶもらうぜィ。」
すこんぶの箱を開けてぽりぽりかじる。
「・・・5箱までは許すアル。この前の借りネ。」
ソファーに座り、笑う。
「ありがてェ。」
コイツには帰れる故郷がない。
ここ以外に。
「・・・定春とかいうわんころはどこ行ったんでィ?」
「知らないネ。どこぞの雌犬と合体してるんじゃないアルか?銀ちゃんがそうよく言うヨ。」
どうせ意味わかってないんだろ、合体って。
「ところでお前ゴリとかニコチン中毒と一緒にいないアルか?」
「どうせ土方さんはどこぞの雌マヨラーと結合してんでィ。近藤さんは動物園の檻の中じゃないかィ?」
神楽が鈴を転がすような声で笑った。
やっと笑ったな。
よかった。
どうせ寂しいんだろ、一人だと。
知ってらァ。