†Short†
□存在の対価
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あたしがまだ自分自身を知らなかった頃は、ただ毎日が楽しかった
いつもの場所で三人で、あのアイスを食べながら、下らない話をしてふざけ合って…
こんな毎日が続けば良いなと思った
それだけで他には何も要らなかった
そんな中で、貴方は…まるで人間みたいなことばかり言ってたよね?
何だかそれが羨ましいようで、もしかしたら貴方には"心"があるんじゃないかとさえ思った
貴方が笑えば、あたし達も笑って…
貴方が悲しそうにすると、あたし達まで悲しい気持ちになる…
貴方は本当に不思議な存在で、そんな貴方だから惹かれていったのかもしれない
その気持ちに気付いてからは、何だか貴方の見方が180度変わったような気がした
何気ない言葉にも変に意識してしまったり、あたしに何かあった時は大丈夫かと、あたしの顔を覗いてくる
それだけで、顔が赤くなって、どうしたら良いのか分からなくなってくる
でも、貴方の隣にいるだけで、それだけで幸せだった
…でも、それも終わりにしなきゃ…
あたしは本当の自分を知ってしまった
そしてこのままじゃ、あたしが貴方を苦しめてしまう
そんなの、絶対嫌
貴方を苦しめるぐらいなら、あたしが消える
貴方自身のその手で…
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