短編
□黄昏れ時に誓う
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??「二人共いいかい?…闇神一族というのは…その名前の通り光がある表ではなく…闇である裏の世界の中で暮らして生きてきた一族だ。…表の世界の人間は武器と言うのを持たない…まぁ、例外も居るけど(ニコッ)」
紅「…おもて…うら???」
亜「……」
??「つまり俺達は裏の人間で武器を持つ事が出来る…。それは表の武器を持たない人達の生活を護る為なんだ」
??「或斗さん…この子達はまだ5歳と9歳よ?まだ早いし…理解出来る話じゃないわ。しかも説明が下手過ぎて……ねぇ?紅ちゃん、亜季君(苦笑)」
或「ハァ…だから琴音は甘過ぎるんだよ。今から話しておかないと駄目だ。だって…俺達の暮らしている世界は…いつ此処から居なくなるか分からない、いつも生と死が隣り合わせの世界だ。今のうちに理解させていかないと…」
琴「それは……充分分かってるつもりよ。でも…まだこの子達には普通の暮らしをさせててあげたいの。家族でこうやってのんびりとした時間を出来るだけ過ごさせてあげたいの…それに次に一族を継ぐ紅ちゃんには尚更…」
これは闇神一族が凄残な事件に巻き込まれる一ヶ月前の話である。
闇神一族現当主は母親である琴音(コトネ)。女ではあるが紅い満月の夜に生まれた故に当主になった。闇神一族は代々その夜に生まれた者が当主になる。
それは初代闇神一族当主である桜音(オウネ)が亡くなった時の夜が紅い満月であり、その夜に生まれた者は初代の力を受け継いで生まれて来ると代々信じられて来たからだ。
或「分かった…琴音は優しいからね。二人に闇神の事を話すのはまた今度にするよ(微笑)」
紅「ママ?ぼくがここのおうちをつぐの?にーには??」
琴「そうよ?紅ちゃんが継ぐの。紅ちゃんは紅い満月の夜に生まれて…選ばれた子なの…お兄ちゃんはパパのお仕事を継ぐのよ」
琴音は紅音を膝に乗せ、後ろから抱きしめながら優しく話す。
紅音はというとよく分からないという顔をしながら話しを聞いていた。
紅「ぼくね、パパとママとにーにとずっと…ずーっといっしょにいたいなぁ。こんなふうにいつもいっしょにいたい…きょうもよるになっちゃうとぼくひとりになるから…」
琴「紅ちゃん…ごめんなさいね。ママ…お仕事忙しくてあまり一緒に居れないから…」
紅「あ、えっと!でもだいじょうぶだよ!!うさぎサンのぬいぐるみといっしょにねればすこしはさみしくないからっ」
琴「そう…紅ちゃんは強い子ね?でも今日はお仕事久しぶりにないから一緒に居れるわよ…たまには普通の母親に戻ってもいいわよね??」
紅「ほんと!?ママといっしょにいれるの!?(パアァ)」
或「ママばかりずるいね。俺だって紅音と居たいな」
亜「父さん…母さん……久しぶりに俺も日本に帰って来たんだ。紅音と寝るのはお兄ちゃんでいいよな??」
親子(紅音を除く)は無言の闘いを始める。三人とも普段は家に居る事が少なく、紅音と居る機会が少ない。だからこそ負けられない闘いなのである。
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