Novel

□雨雲
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先ほどまで晴れていたにも関わらず、部室の外はすっかり雨雲で覆われている。白石は部誌を書きながら窓の外を見つめていた。

「…まったく…あのドアホ何してんねん」

今日はろくに部活に来ない千歳が現れたので、いつもなら出来ない練習をしていた。
けど、それも夏の風物詩である夕立のおかげで中止。
急いでコートを片付けるように後輩に呼びかけ、白石たちも道具を部室に運びこんだりしていた。
だが、目立つ長身がいないことに気付き、探そうとしたがそこで雨が降ってきたのであった。

千歳はまだ帰って来ていない。
部室に荷物はあるので帰宅していないことは分かるのだが。

「遅い…」

裏山で昼寝でもしているのか。
それなら今降っている雨で気付く。

女子に告白されているのか。
だが、それにしては遅すぎる。

猫と散歩していたらいきなり雨が降ってきて帰れなくなった?
あり得るけど今日はちゃんと部活に来ていた。

「…千歳のくせに」

心配させんな、と言おうとして止めた。
言っても無駄に近い。
それに女々しい。

もう帰りたいのだが、千歳が帰って来ないのでは帰れない。
どうしようと考えていたら部室のドアが開いた。





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