Novel

□苦味
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俺はちっちゃい時からキレイな顔立ちやなって言われてきた。
それは今も現在進行形で続いとる。

けど、キレイな顔立ちってだけじゃアカンことだってあるんや。




中学三年になって、俺は初めて恋と呼べるような恋をした。

相手は4月に転校してきた『男』。

何でよりによって男なんやって思うけど。


しゃーないやろ。


何でも好きになるもんには理屈なんて不要やねん。




そう、しゃーないんや。







アイツはめっちゃテニスが強い。
「神隠し」だの「才気煥発の極み」だの、いろいろなものを持っとるし、驚くべきなんは片目しか見えない筈なのに常人と変わらないテニスをしとること。
言うなればアイツは才能の塊や。

けど決して自慢はせえへん。

ヘラヘラ笑って勝利をかっさらっていくだけ。



アイツは優しい。

何を言われてもずっと笑っとるし、何か異常があるヤツは助けてやっとる。
何で、と思うほど優しいんや。



アイツはその他にもいろいろなモノを持っとる。


今考えれば最初はただの憧れだったんかもしれへん。


けどもう今はちゃう。


もう純粋に「好き」になってもうたんや。



なぁ、どないしたら良えの?
自覚済みのこの恋情は俺を刺して縛って締め上げて、もう俺の心はズタボロや。

痛くて痛くてたまらんわ。

お前の一挙一動が俺を狂わせる。

甘い甘い声は俺を虜にする。


なぁ、大好きや。

大好きで大好きでもう止まれへんねん。

片思いっちゅーのがこんなに泣きたいもんやなんて初めて知ったわ。

苦しい。

辛い。

哀しい。

けど、楽しい。

嬉しい。

シアワセ。

いろいろ感じる。


この恋が報われなくても構わない、なんては言えへん。
俺はそんな出来たヤツやあらへん。
ただの15歳の人間なんや。

迷惑かけへんから、見つめさせて。
この恋を終わらせんで。
好きでいさせて。
これだけでホンマに良えから。


どないしてこの俺がここまでなったんやろ。

ま、考えてもしゃーない。

結局、言いたいのはただお前が好きっちゅーことだけなんや。






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