永い航海

□†your world† 第2話
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「ねぇ〜そんなムスッとしてると可愛い顔が勿体ないよ〜?」


反応を示さない腕の中の小さなガキんちょ改め、アタシの大好きな彼ことエース。


「聞いてんの〜?エース」と訪ねれば腕の中で「なんでテメェが名前知ってんだよ!!」と対して怖くもない睨みをきかせて見てくるもんだから「かぁわい〜い」と抱きしめて頬を寄せれば全力で「離せー!」と暴れる。


「そんな全力で嫌がんなよ〜」


「傷ついちゃう」と言えば「嘘ついてんじゃねぇ!」と怒られた。


いや、実際かる〜く傷ついてんのよ?


「あり?もう抵抗しないの?」

「しても離さねぇじゃねぇか!」


いや、ごもっとも。


だって小さいエースに逢えたんだからコレばっかりは抱きしめておかなきゃ♪


「でもなんでエース森にいたの?」

「テメェこそなんでいんだよ!」

「アタシ?アタシは…ほら!迷子?」

「なんで疑問系なんだよ!!」


エースってば小さい頃はツッコミ体質なのよね。


ま、後ろから抱きしめてるから表情まではわかんないけど面白い顔してたんだろうな〜。





「…いい加減離せよ」

「ヤダ」



アタシの即答がそんなに気に食わなかったのか「テメェ離さねぇとぶっ飛ばすぞ!」と随分ご立腹な様子のガキんちょエース。


「腕の中にいるガキんちょがよく言う」


ニヤリと、自他共に認める極悪人並の意地悪な笑い方をすれば「ふざけんじゃねぇ!!」とさらにご立腹になるエース。


ジタバタと、まさに効果音の付きそうな暴れっぷりのエースがとても可愛くて笑えてしまう。


「なんで解けねぇんだよ!?」


必死に腕の中から逃れようとしているエースの頭にアタシは顎を乗せ「そりゃ愛してるからね〜」とのほほんと答えた。


「はぁぁぁぁぁっ!?」

「そんな声出されても、事実よ?」


腕の中のエースにニッコリと笑いかければ「っ!!!!????」と顔を真っ赤に染めてた。




「よ〜し!その可愛さに免じてなんでも1つだけ質問に答えてやろう!」


どーんっと胸を張れば腕の中にいたエースが暴れるのをぴたりと止めてこっちを向いた。


「なんでも、なんだな?」

「1個だけだぞぉ?」

「ならちゃんと答えろよ?」


「おぅ」と答えたアタシの口元はニヤニヤと笑みがこぼれていて確実に変態並だろうな。

でも次のエースの言葉で笑みは消えた。




「俺、生まれてきてよかったのか?」




「ふぅ」と息を吐き出して真っ直ぐにエースの目を見てアタシは「当たり前だろ!」と笑った。


「っ!?」

「生まれてきてくれなかったらこんな風にバグだって出来なかったし、話だってできなかったし、エースの笑った顔が見れないだろ〜」



「何より“愛してる”って伝えらんない!」とギュッと抱きしめれば意外なことにエースがアタシの背中に小さい腕を回して背中の服を握ってきた。


微かに震える肩と服を握る小さい手がとても愛おしくて「アタシはエースを愛してるよ」と告げて今はまだ小さな背中を優しく優しく撫でた…――




2011/4/21

story's end…?




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