〜太陽の輝き〜前世編
□第1話
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月を飛び立った直後、サニンは思い出したように言った。
『あ、そうだわ!地球にも行かなくちゃ!』
地球、という言葉を聞いてリゲルも思い出したようにポンと手を叩く。
「そういえば、王子にはまだ会ってなかったわね。」
「そうですね。行きましょうか!」
ベガの言葉を最後に三人は地球へと向かった。
―――――
地球へと降り地に足をつけると、サニンは辺りを見渡した。
青と緑がいっぱいの、美しい星。
(いい星、よね・・・)
しばらくして前方に目的人物を見つけると、サニンは声をかけた。
『あ!エンディミオン!』
「お、サニンじゃないか!」
エンディミオンと呼ばれた青年は、この地球のプリンス・エンディミオンだ。
黒い髪は夜を思わせるようで、セレニティと同じ海色の瞳はとても優しい。
すらっと背が高く美しい顔立ちは、今までに何人もの女性に惚れられたことを示している。
「どうしたんだサニン?」
『うん。今からあたしたち留学に行くんだ。』
妹を見るような瞳でサニンに問いかけたエンディミオンは、返ってきた言葉に少なからず驚き目を見張った。
「留学か・・・どれくらいの期間なんだ?」
『分かんない・・・けどたぶん長期間だと思う・・・。』
「・・・そうか・・・サニンがいなくなると寂しくなるな・・・。」
長期間、という単語を聞き少し暗くなってしまったエンディミオンの表情を見たサニンは、ニヤリと笑うとその背中をバシバシと叩く。
『な〜に言ってんのよ!エンディミオンにはセレニティがいるじゃないの!イシシッ』
「おいおい、からかわないでくれよ・・・」
サニンがからかうとエンディミオンは僅かに頬を赤く染める。
『うふふっ。エンディミンオン?セレニティをちゃんと大事にしなよ!』
「分かってる。」
そう言ったエンディミオンの表情はしっかりとしていて、それでいてセレニティを愛しく想う気持ちがしっかりと込められていた。
―――――
地球を飛び立ち宇宙空間へと出たサニン達。
濃紺の色にキラキラと輝く星達がとても美しい。
まるで宝箱をひっくり返したようだ。
(星達が生きてるわ・・・)
目を閉じ星の生命を感じていたサニンがふいに問いかける。
『そういえば、キンモク星ってどんな星なのかしら?』
「ええ、確か若いプリンセスが星を治めてるって聞いたわ。」
『ええ!?プリンセスが!?』
リゲルのその言葉にサニンはとても驚く。
若いプリンセスが星を治めることはとても凄いことなのだ。
「だからあんたも見習いなさいよねっ!」
『あだっ』
サニンのその様子にリゲルはまたしても突っ込みを入れたのだった。
目的地まであと少し。
太陽と星座と、星のプリンセスと3つの流れ星との出会いまであと少し。
そして、この出会いから物語がすべて始まる。
出会いとは、いつも偶然を装った運命と奇跡なのだ―――・・・
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