〜太陽の輝き〜前世編
□第3話
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そしてその沈黙を破ったのはサニンだ。
『ね?あいさつしよ?おはよう、ファイター。』
「・・・はぁ・・・おはよう。」
諦めたかのように本日何度目になるか分からない溜め息をつき、挨拶をようやく返すファイターに満足したサニンは満面の笑みを浮かべる。
『うふふっ。嬉しい!ありがとファイター!』
そしてその腕から降りると次の人物を探すべくその場を走り去っていった。
「なんなの・・・」
その後姿を見つめるファイターはなんともいえない表情をした後、またすぐにその長い足を進めて歩き出したのだった。
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しばらく宮殿内の廊下を走っていると次は茶髪を揺らして歩く長身の彼女が目に入った。
『あっ!メイカー!!』
「何ですか?」
くるりと此方を振り向く彼女はファイターと違って無表情である。
『あいさつしに来たのよ!おはようメイカー!』
「おはようございます。」
『うっし!!』
ファイターと違って素直に挨拶を返されたのが嬉しいのか思わずガッツポーズをするサニン。
そんな彼女の行動の意図が分からずメイカーは頭に疑問符を浮かべる。
「どうしたんですか?」
『え?あ、うん。いえね、ファイターにあいさつしたけどなかなか返してくれなかったの。でもメイカーは返してくれたから!』
「はぁ・・・そうですか。もういいですか?私は仕事がありますので。」
『あっ!うん!ありがとねメイカー!!』
仕事があるためもういいかと尋ねるメイカーに頷くと、再び次のターゲットを探すべくその場を走り去るサニン。
そしてその後メイカーは「変な子・・・」と呟きくすりと笑うと、足取り軽くその場を去ったのだった。
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今度は庭に出てみると、草の上に座り木に背中を預けている銀髪の彼女がいた。
それを見たサニンはニヤリと笑うと、抜き足差し足で近づく。
『ばぁっ!ヒーラー!』
「きゃあ!」
彼女の肩を後ろから揺らせば驚いた彼女から悲鳴が上がる。
バッと後ろを振り向いたヒーラーに満面の笑みを向ければみるみるうちに仏頂面になってゆく。
「・・・なんなのよいきなり。」
『うん!あいさつよあいさつ!朝のあいさつよ!おはよヒー「いやよ。」
ヒーラーの表情の変化を大して気にも留めずに挨拶を交わそうとしたサニンだが、最後まで言い終わらぬうちに相手から発せられた言葉は拒否。
瞬間サニンの頭にはタライ的な何かが落ちてきたことだろう。
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