凛々の明星と銀色の侍の物語
□闘技場都市〜3〜
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「チッ…!どこだ…どこにある…!」
額に汗を浮かべて、険しい表情で何かを探しながら廊下を走っているのは、先程エステル達と観客席へ向かったハズの銀時だった。会場からは決勝を観戦している、観客達の歓声が廊下にまで聞こえていた。だが銀時の耳には歓声達の割れんばかりの歓声は全く入ってこなかった。それほど今の銀時は必死にあるものを探していたのだ。
「どこだ…!どこにあんだよ…!もうヤベェんだよ…!」
みるみるうちに苦しそうな表情になっていく銀時。うっすらとしか、かいていなかった汗の量もどんどん多くなってきていた。
「どこなんだよ…!なんで見つからねぇんだ…!!見つけねぇと…俺は…俺は…!」
壁を叩いて悔しがる銀時。どうやら銀時にとって今探しているものは彼にとって非常に重要なもののようだ。
「…だ…。…どこなんだ…。
……便所はどこだぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
彼はトイレを探していたようだ。どうやら朝食に出た玉子が痛んでいたようで、それが今になって腹痛を引き起こしてきたようだった。
端から見れば非常に大切なもの…例えば仲間や恋人が拐われたかのよな雰囲気を出していたのに色々台無しである。
「マジヤバイ…マジヤバイんだけどコレ、マジヤバイよ?どれくらいヤバイかっていうとマジヤバイ!!つーか、もうあの物体がケツからこんにちはしそうなんだけど!?俺のケツという大地の割れ目からノーロープバンジーする気満々だからねあのお方!!早く着地地点準備しねぇと大惨事なんだよマジでェェェ!!なのに何で便所がねぇんだァァァァ!!!!!!!」
涙目で内股気味で叫ぶ銀時。
「ダ、ダメだ…。トイレの事を…う○こする事を考えるな…。考えたら大地の割れ目が緩くなっちまう…心を無にするんだ…。そうだ俺は今う○こなんてしたくない…したくないんだ…。」
そう自分に言い聞かせ目を閉じる銀時。すると不思議と彼を襲っていた便意が徐々に治まっていく。
『おっ!?なんかいい感じになってきぞこりゃ。』
心の中でそう呟くとともに、苦しそうな銀時の表情が少し緩んだ。しかし、便意が治まった事で油断してしまったのか、彼の頭にある光景が浮かんできた。
『んっ?なんだこの光景は…?』
それはウォシュレット付きのトイレに座って、何かをやり遂げた顔をしている自分の姿であった。
「しまったァァァァ!!!結局う○こする事考えちまったァァァ!!…ぁあ!!また波が…。」
頭を抱えて悶絶する銀時。しかしすぐに立ち直り、両手で尻を抑えながら、真っ直ぐ長く続いている廊下を見つめて、こう力強く叫んだ。
「……ジャンプの主人公である…この俺が…う○こ漏らすわけにはいかねぇんだよコノヤロー!!!」
そして再び桃源郷(トイレ)を目指して走り出した。