凛々の明星と銀色の侍の物語

□闘技場都市〜3〜
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コンコンッとユーリ達がいる控え室の扉からノックの音がする。

「は〜い。どうぞ〜。」

「失礼します。ユーリ・ローウェル選手。間もなく決勝が始まりますの・・・」

エステルが返事をすると、扉が開き、大会の係員が入ってきた。
係員はユーリに対し、決勝が始まるので準備をするようにと伝えにきたが、床に倒れ、ピクピクと動いてる銀時とレイヴン、ぐったりと椅子に座っているユーリ、部屋のすみでブルブルと震えながら体育座りをしているカロルを見た瞬間に言葉を失った。

「…あ、あの…そ、そろそろ決勝なので準備の方を…。」

凄まじい光景に目が泳ぎながらもなんとか自分の仕事をこなす係員。

「わかりました。わざわざありがとうございました。」

ペコリと頭を下げお礼を言うエステル。

「で、でわ私はこれで…。し、失礼します!」

そう告げると逃げるようにその場を後にした係員。そんな係員の後姿を不思議そうに見送るエステル。

「?なぜあんなに慌ててたのでしょう…?それよりユーリ。そろそろ行かないと間に合いませんよ?」

「あ、あぁ…。」

元気なく椅子から立ち上がるユーリ。いつも冷静な彼がここまでの状態になるのだから、よほど先ほどの黒エステルが精神的に堪えたようだった。
一方の銀時達はというと・・・。

「ほら!そろそろ起きなさいよ!」

「おじ様もよ?」

リタは銀時に、ジュディスはレイヴンにそれぞれ声をかけていた。だが2人は反応しない。まるでただの屍のようだ。

「ったく…。いい加減起きないと…チリチリにするわよ?」

「やめてくれぇぇぇ!!!チリチリだけはやめてぇぇ!!!ただでさえウネウネなのに…チリチリなんて嫌ぁぁぁ!!!」

リタのチリチリの刑宣言で頭をガードしながら飛び起きる銀時。

「おじ様もそろそろ起きないと…<ピー音>が<ピー音>になる事になるわよ?」

「ちょッ!?無理無理無理ー!!おっさんそんなの耐えられないからぁぁぁ!!!!絶対無理だからぁぁぁ!!!」

ジュディスの爆弾発言に飛び起きるレイヴン。こちらはなぜか股間を押さえていた。
部屋のすみで震えていたカロルも何とか復活しており、彼の近くにはラピードも一緒にいた。

「ねぇ…ラピード?」

「ワンッ」

どこか遠い目をして、エステル達女性陣を見ながらラピードに話しかけるカロル。

「女の人って…怖いね…。ナンも…あんな感じなるのかな…?」

「ワンッ!ワンワンッ!」

「…そうだよね!うん!ラピードありがとう!」

ラピードの言葉が本当に理解出来たかは不明だが、カロルは嬉しそうに笑っている。そんな彼を見てラピードもどこか満足そうだった。
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