Arashi BL
□サクラ ON
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僕の恋人は死んだ。2年前のあの日、あの場所で彼は死んだ。
否、殺されたのだ。
僕たちの想い出のたくさん詰まったあの場所で。
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「待ってたよ、智」
彼はふわりと笑って、僕の名前を呼んだ。
僕は彼に手招きされて歩み寄った。
彼は微笑んだまま、僕の耳元に自らの唇を寄せ、「殺して」と小さく囁いた。
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「智くん!先生にあてられてるよ」
現実に呼び戻された。今は数学の授業中だった。
僕は問題の答えを難なく答えた。先生は満足げに頷いている。
「…翔くん、教えてくれてありがとね」
隣の席に座っている友人にお礼を言うと、彼は心配そうに僕を見てきた。
僕は目をそらし、前の黒板をじっと見た。