小ネタSS

□きっと、また、この掌に
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パンッ!

前を見据えていたあんたが振り返り、視線が合う。
歓声を背に俺に向かってくる姿。
ふいに互いの視線が外れ、その後すぐ感じる掌の痛み。

「ナイッシュ」
「ああ」

どちらかが点を入れると必ずするこの行為は多分、ただの“おめでとう”と“当たり前だ”なんだと思う。
でも、俺にとってはそれ以上で。

『好きです』
『  』

言えない言葉を掌に乗せてあんたに届けたい。
そのための“アシスト”と“シュート”。

今度は俺があんたに近づく番だ。

「ナイッシュ」
の後に
「好きです」
を言えるようになるまでは、ただの痛みでいい。
そう思っていたのに・・・。

伝える前に、あんたは俺の前から消えた。

もう何も望まないから。
“好きです”なんて言わないから。
だから、あなたの背中をもう一度・・・。
もう一度、この掌に・・・。


再び、あんたは俺の前に現れた。
久々に見たのはあなたの背中じゃなくて、あんたの不敵な笑みだった・・・。

俺は何も言わず、あんたを見ることすらできなかったんだ。
90分後、俺とあんたは何か変わるのだろうか・・・?


End.

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